「おっさんたち」の駅伝 小説に 「佐久間の伝統 廃止後も残したい」 浜松の奈女田さん執筆

 浜松市天竜区出身の元教諭奈女田[なめた]功さん(67)=同市中区=が、地元の佐久間駅伝を舞台に執筆した小説「RUNNER(ランナー)―おっさんたちの駅伝―」を出版する。50年以上の歴史を誇る恒例行事は来年以降の廃止が決定。「本を通じて郷土の伝統を将来に伝えられれば」と話す。

出版を予定している「ランナー」の原本を手にする奈女田さん=浜松市中区
出版を予定している「ランナー」の原本を手にする奈女田さん=浜松市中区


 同作は病気や両親の離婚、同僚の死などを経験し、それぞれ苦悩を抱えた6人のランナーと、学生ランナーとして将来を嘱望されながら、けがで挫折した監督が佐久間駅伝に挑む物語。区間ごとに選手が過去と向き合う内容で、奈女田さん自身も大会に参加していて、ランナー目線の臨場感あふれる描写が見どころの一つ。
 奈女田さんにとって佐久間駅伝は約30年前から参加している「思い入れのある大会」。廃止が決まった中で舞い込んだ出版の話に「導かれたようなタイミング。運命なんじゃないかとも思う。(大会は)なくなっても、作品を通じてランナーや関わった人たちの思いを残したい」と願う。
 執筆活動を始めたのは教員を退職した2017年。自身の校長としての経験を後進に伝えたいとの思いから、職員に配布していた校長室だよりを計4冊の本にまとめた。その後児童書や小説などにも挑戦し、現在は浜松市を舞台としたラブストーリーを執筆中という。「多くの人に読んでもらいたいと思っている。物語から何か感じてもらえたらうれしい」と創作意欲はまだまだ衰えそうにない。
 (浜松総局・仲瀬駿介)

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