「私も市有地のタケノコ採っている」 市議発言 問題視の動き 沼津市議会

 27日に開かれた沼津市議会9月定例会本会議で、市有地を駐車場として貸した利益を山下富美子市議(70)に求めて市が提訴する議案の質疑中、山下氏と同じ会派の江本浩二市議(62)=5期=が「私も市有地に生えたタケノコを採っている。これも不当利得か」と自身の所有地に隣接する市有地に生えたタケノコを販売し、利益を得ていると明かした。不適切行為を市議が容認する発言として、議会で問題視する動きがある。

「市有地のタケノコは不当利得か」―。沼津市議会の議案質疑で発言した江本市議(手前)=沼津市議会
「市有地のタケノコは不当利得か」―。沼津市議会の議案質疑で発言した江本市議(手前)=沼津市議会


 江本氏によると、言及した市有地は20~30年ほど前、江本氏が雨水貯留ダム用地として市に売却した。ダムは現在まで建設されず、放置されているという。「あまり悪いこととは思わない。公図上の公有地を耕作している例は少なくないが、市は1件ずつ利益を請求するのかを問う趣旨だった」と述べた。
 高橋達也議長は発言内容や実態を精査する必要があるとし「調査の上、今後の対応を検討したい」とした。
 市議会9月定例会は同日、上程された25議案のうち、人事案を除く22件を委員会付託した。山下氏への提訴案は29日の建設水道委員会で審議する。 記者の目 現職市議提訴へ 双方の主張聞いて  沼津市の市有地を山下富美子市議が有料駐車場として貸していた問題。市が山下氏に利益の返還を求めて提訴する議案は、審議の舞台が市議会建設水道委員会に移る。市が現職市議を訴える異例の事態に、議会は双方の主張を聞いた上で採決に臨んでほしい。
 市は27日の本会議で「山下氏側に交渉を催促してきたが、連絡をもらえなかった」と提訴に至った経緯を説明。一方、山下氏側は「自宅から新たな証拠が見つかった」として14日に一般にも開放して記者会見を開いたが、詳しい資料は会見に参加した市議には渡されなかった。
 議員の立場が危うくなる問題だけに、議会としても本人の説明や、資料提供を求め、双方の主張を聞いて判断する必要がある。
 ただ、本来ならば山下氏も問題が明るみになった昨年10月の時点で資料を探し出し、自ら説明すべきだった。議会から招致や資料提供の要求があった場合は、速やかに応じて丁寧に対応してほしい。
 (東部総局・尾藤旭)

いい茶0
あなたの静岡新聞 アプリ
地域再生大賞