西伊豆 眼科医療支え20年 信頼集め静岡県内外から来院 大高院長「患者は家族」

 伊豆半島西海岸で手術を受けられる唯一の眼科「西伊豆眼科クリニック」(伊豆市小下田)がことし、開業20周年を迎えた。長年、診察日の毎週土日、静岡市からへき地医療に従事する大高功院長(56)。苦労が続いた2003年の開院当時、一日20人ほどだった患者数は、現在多い日で静岡県外含め100人以上にもなるという。「患者さんを家族と考え、受けたいと思う治療を勧める」と変わらないモットーで住民の信頼を集める。

患者を家族と考え、親身に対応を続ける大高功院長=7月、伊豆市小下田の西伊豆眼科クリニック
患者を家族と考え、親身に対応を続ける大高功院長=7月、伊豆市小下田の西伊豆眼科クリニック

 「うちの町だけでなく、隣町もその隣町も、みんな本当に困っている。何とかならないか」。平日は横浜市の医院で勤務する大高さんが静岡赤十字病院の眼科医長だった01年、当時の鈴木衛・旧土肥町長から相談を受けた。考えた末にたどり着いたのが「トップレベルの医師を集め、土日に診察する」方針だった。
 2年の準備期間を経て、医師2人で始めた。大高院長は毎週末フェリーを利用し、静岡市の自宅から片道約2時間かけて通勤。悪天候でフェリーが出航しない時もあり、患者を待たせるなどの失敗もあった。「最高の環境で得意の手術を」と設備にこだわり、開業当時は無給で、収益は全て設備投資に充てた。
 「20年間続けてきて良かった」と大高院長。現在は医師5人、看護師1人が交代で務める。開院当時から通院しているという西伊豆町の男性(82)は「院長はじめ、医師、看護師の方は昔から親切で一生懸命」と話す。
 診察の最後に患者と握手を欠かさないなど、今後も地域密着の姿勢は変えない。大高院長は「常に温かく患者さんを迎え、目だけでなく、心も癒やされたと感じる病院であり続けたい」と前を見据える。

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