静岡人インタビュー「この人」 災害時の女性に関する課題解決を目指す団体を立ち上げた 杉山文香さん(富士市)

 防災に関心のある女性同士の情報共有や災害時の女性に関する課題解決を目指す有志団体「富士女性災害支援ネット」を3月に設立し、代表を務める。勉強会や体験イベントなどを企画する。32歳。

杉山文香さん
杉山文香さん

 ―設立のきっかけは。
 「消防団員としての活動を通して防災への意識が高まっていた。昨年の台風15号で地元の江尾地区が浸水被害に遭った。ボランティア団体に所属していない人や防災士などの資格がない人であっても支援できたり情報を知ることができたりする仕組みがあればと思った。その後、過去の大規模災害などについて勉強を進める中で女性を巡る防災の問題を痛感し、設立を決めた」
 ―女性が抱えやすい災害時の課題とは。
 「東日本大震災では避難所生活の際、生理用品やベビー用品などの備蓄や支援が少なく、女性のニーズに十分に対応できなかった。炊き出しや掃除などの負担を過度に背負わされたケースもあった。避難所の管理責任者の多くが男性であることから運営に女性の声が届きにくいのではないか」
 ―これまでの活動内容は。
 「自主防災会への提案を話し合う意見交換会やAEDを使った救命講習、避難所運営ゲームの体験会などを企画した。地域とのつながりが薄れがちな若い世代に防災への関心を持ってもらいたいという思いもある。子育て世代を対象に、親子でパッククッキングや無線通信を体験するイベントも開いた」
 ―今後の抱負を。
 「資格の有無にかかわらず、防災に興味のある人が気軽に話し合える空間を作りたい。そうした女性を社会に向けて『見える化』することで、女性の参画が今より進めばいい」
 (富士支局・沢口翔斗)

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