まさかの観光客 伊豆やきもき オーバーツーリズム対策 妙手なし

 伊豆市内で観光客らの迷惑行為が相次ぎ、地元が頭を悩ませている。新型コロナウイルスに伴う制限も緩和され、海外からも多くの観光客が訪れた今夏、危険な川や滝に飛び込むなど、過去にないトラブルがあった。観光客増が地域住民の生活に悪影響を及ぼす「オーバーツーリズム」対策に妙手がないのが現状だ。

渡月橋下の桂川では水着姿の外国人が遊んでいたことも。せきでは逆流が発生する=伊豆市
渡月橋下の桂川では水着姿の外国人が遊んでいたことも。せきでは逆流が発生する=伊豆市

危険な川、滝へ飛び込み 公衆トイレで窃盗  「観光客はたくさん来てほしいが気をもんでいる」。同市の60代の男性飲食店店主は渡月橋下の桂川を指さす。複数の外国人が水着になり、流れに乗って遊んでいたという。
 渡月橋付近の建物が取り壊されたことにより、桂川へ降りることができる階段が見えやすくなった。そこから川を数十メートル下るとせきがあり、滝つぼのような流れになっている。ここは強烈な逆流が発生し、一度巻き込まれると脱出が難しく、救助も困難を極める。男性によると、過去複数の死者が出ているという。「何回も注意した。危険なところには行かないでほしい」と不安をにじませた。市担当者は「今後は英語の表記で注意を促すなど、外国人にも伝わるような取り組みをしていかなければならない」と話す。
 市観光協会によると、市内の公衆トイレでは、トイレットペーパーが盗まれる事案が発生しているという。連休前は大量に補充しているが、月2回程度「トイレットペーパーがない」との連絡が来ている。同協会担当者は「コロナ禍の数年間ではこのようなことはなかった」と振り返る。ほかにも市内の有名観光地では、外にもかかわらず観光客とみられる男性が排せつをしていたこともあったという。
 6月には伊豆市湯ケ島の「浄蓮の滝」で、外国人とみられる男性が滝の上の場所から約25メートル下の滝つぼに飛び込んでいることが明らかになった。浄蓮の滝観光センターの担当者によると、飛び込む様子を見た別の外国人とみられる男性も岩場から滝つぼに入ったという。滝つぼは遊泳禁止になっている。担当者は「50年間で初めてこのような光景を見た。ほかの観光客にも迷惑をかけるのでやめてほしい」と呼びかける。
 (大仁支局・小西龍也)

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