沼津市有地のタケノコ「販売していない」 江本市議 前言翻す

 江本浩二沼津市議が市議会9月定例会本会議の質疑中に「市有地からタケノコを掘って販売している」と発言し、市議22人が懲罰動議を提出した問題で10日、本会議が開かれ、動議の質疑が行われた。弁明に立った江本氏は市有地のタケノコについて「議員となって今まで16年以上、販売したことはない」と述べ、前言を翻した。
 江本氏は問題の市有地は自身の畑の隣接地で、2000年ごろにダム予定地として市に売却後、竹林のまま放置されていると説明。「市に代わって管理をするため、(竹に成長しないよう)タケノコを掘っている」とし、販売したのは「基本的に私の竹林(のタケノコ)」と正当な行為と主張した。
 動議提出者の村木豊氏(沼津志帥会)は江本氏の発言内容は「森林法やその他の法令違反の可能性がある」と提出理由を説明した。
 江本氏の懲罰について、本会議後に懲罰特別委員会が開かれ、委員長に片岡章一氏(公明党)、副委員長に井原三千雄氏(志政会)を選出した。11日に開催する委員会は非公開と決めた。市議会事務局によると、1992年以降開催された7回の同委員会のうち、4回が非公開だった。
 発言は9月27日、市有地を駐車場として貸した利益の返還を求めて市が山下富美子市議を提訴する議案の質疑中にあった。市議22人が懲罰動議を高橋達也議長に提出していた。

江本氏タケノコ発言 苦しい弁明、重み自覚を【記者の目】
 沼津市議会9月定例会での江本浩二市議の「タケノコ」発言。10日の本会議で、「(市有地の)タケノコは販売していない」と前言を翻した。前回の発言は文脈から市有地のタケノコを販売しているとしか読み取れず、苦しい弁明だ。
 江本氏はこれまでも議会内での言動で懲罰を受けた他、昨年10月には当時オブザーバーとして参加していた議会運営委員会を無断欠席するなど、議席の重みを感じていないと思える言動がしばしば見られた。江本氏は市当局に厳しい態度で臨むことも多く、行政に緊張感を与えているのも事実。ただ、議員としての言動が市民の理解を得られるものでなければ、その厳しい姿勢も説得力を欠いてしまう。
 市議の議場での発言には、重みがある。自身の支持者だけでなく、全市民から厳しい目が注がれていることを自覚すべきだ。
 (東部総局・尾藤旭)

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