「タケノコ」発言の江本氏 陳謝拒否で再懲罰、出席停止に 沼津市議会

 江本浩二沼津市議(62)の「市有地のタケノコを掘り販売した」とする発言を巡る問題で、市議会9月定例会は16日に本会議を開き、江本氏への懲罰動議に対して賛成多数で「議場での陳謝」の処分を決めた。しかし、江本氏は受け入れず拒否。拒否を理由に再度、4段階ある懲罰のうち除名に次ぐ2番目に重い出席停止(1日)となり、江本氏は受け入れ退席した。

出席停止の懲罰を受け、議場から退出する江本浩二市議(右奥)=16日午後7時50分、沼津市議会
出席停止の懲罰を受け、議場から退出する江本浩二市議(右奥)=16日午後7時50分、沼津市議会

 退席後、江本氏は「市議会が下した最後の議決として出席停止を受け入れた。責務を果たせず忸怩(じくじ)たる思いだが、(陳謝の拒否は)自分の人格、尊厳を守るためだった」と釈明。「懲罰は勲章だと思っている」とも述べた。
 江本氏と同じ会派に所属する山下富美子市議(70)が市有地を駐車場として貸した利益の返還を市が求めて提訴する議案の採決は深夜にずれ込み、午後10時現在閉会していない。江本氏は出席停止で議案の採決に加われない。
 9月14日に開会した定例会は、江本氏の不適切発言や、発言を招いた山下氏の提訴議案の質疑など混乱が相次いだ。高橋達也議長は「市制100周年など市のターニングポイントに、次につなげる議論をしたかったが、時間的制約ができてしまった」と残念がった。その上で「言論の自由とルールの順守が両立するよう議員は襟を正さなければいけない」と述べた。

発言変化、姿勢かたくな 本会議空転
 「議場での変転する発言は受け入れがたい」。「タケノコ発言」の代償は過去に例がない再懲罰、出席停止という事態に発展した。16日の沼津市議会9月定例会最終日。発言の主、江本浩二市議(62)は陳謝処分を拒否するなどかたくなな姿勢に終始した。再度の処分の出席停止を受け入れ、午後7時すぎ、議場を後にした。
 陳謝の拒否と再度の懲罰で午前10時に始まった本会議は長時間空転。審議すべき議案は全て後回しとなり、討論や採決は深夜に及んだ。江本氏の姿勢に議会側も厳しい対処をせざるを得なくなったために時間を費やしたとも言える。
 「(少数会派に対する)いじめだ」。11日の懲罰特別委員会。江本氏は自身の正当性を主張し、委員に大声で食ってかかる場面もあった。
 「いじめではない。懲罰は本当はやりたくない」と複数の市議。懲罰を避けるため、高橋達也議長らが懲罰動議の期限となる3日間、当該発言の削除を促したが、江本氏は「削除しないなら懲罰、というどう喝だ」と拒否。「発言を正すことが懲罰以外難しくなった」(中堅市議)という。
 江本氏は今回の2回を含め、5回目の懲罰。あるベテラン市議は「これまでは問題発言があっても議事録削除や懲罰に応じていた。今回はなぜここまでかたくななのか分からない」といぶかしがった。

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