沼津市議会「本来議案、集中できず」 江本市議の懲罰拒否 各会派代表、厳しい意見

 沼津市の江本浩二市議(62)は16日、市議会9月定例会で科された陳謝の懲罰を拒否し、同市議会で初めて出席停止の懲罰処分となった。各会派の代表からは「陳謝の懲罰を受けるべきだった」「本来の議案に集中できなかった」と厳しい意見が相次いだ。

江本氏への再懲罰を審議した沼津市議会本会議
江本氏への再懲罰を審議した沼津市議会本会議


 最大会派の浅原和美氏(志政会)は「懲罰拒否は前代未聞。再度の懲罰しか、けじめをつける方法がなかった」と強調。植松恭一氏(沼津志帥会)は「懲罰動議が出る前に議長らが議事録削除を促しても応じなかった経緯がある。懲罰審査の議論も本筋と離れてしまった」と述べた。
 梶泰久氏(市民クラブ)は「当初の発言と弁明が大きく変わっている」。議会運営委員長を務める長田吉信氏(公明党)は「本来は決算審査の大事な定例会。江本氏の問題に時間を取られ残念」と渋い表情。大場豪文氏(虹の会)は「市の職員も深夜まで帰れない。そのような影響も考えてほしい」と苦言を呈した。
 懲罰に反対した共産党市議団の川口慶氏は発言そのものには否定的ながら「訂正など説得しきれなかったか。懲罰に値するか」と述べた。江本氏と同じ会派「未来の風」の山下富美子氏は「江本氏の信念を優先したことを支持したい」と理解を示した。

再懲罰、議会改革の契機にせよ【記者の目】
 沼津市議会9月定例会は最終日の16日、江本浩二市議が「タケノコ発言」を巡り、市議会が決めた「陳謝」の懲罰を拒否して本会議は一時空転。江本氏に再度、出席停止1日の懲罰が科される前代未聞の事態となった。
 江本氏はこれまでも本会議や委員会で議長や委員長の制止を無視して発言する場面がしばしば見られ、時には別の議員とも激しい応酬となることもあった。そのような場面の多くは政策に関することではなく、また傍聴者がほとんどいないところで展開された。議会が多様な市民の目で監視されていれば、議員だけでなく、市当局にも緊張感が伝わるはずだ。
 沼津市議会は一般質問の日ごとの登壇者を示さないなど、市民への情報公開が不十分と考える。江本氏の懲罰を審査した今回の2回の特別委員会も非公開とせず、多くの記者や市民の目が入った場で行うべきだった。
 多くの市民は議員に建設的な論戦を期待している。今回の騒動が真の意味で開かれ、委員会のネット中継の開始など、多様な目が注がれる議会改革につながることを期待したい。
 (東部総局・尾藤旭)

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