台風・大雨の浸水被害多発受け 沼津市、水害対策を加速 沼川流域プラン案再検討

 2019年の台風19号や今年6月の大雨により、浸水被害が沼津市内で多発していることを受け、市が被害対策を加速させている。ポンプ車の導入や河川流域の水災害対策プランの再検討を進め、被害軽減を目指す。

 6月の大雨では、市内にある狩野川水系の3カ所の排水機場で水路の水を川に流し出すためのポンプが停止し、大岡地区や市西部で冠水被害が発生した。
 市は9月、排水ポンプ車1台と可搬式の排水ポンプ設備2台の物件供給契約を結んだ。2024年9月末までに納入予定。6月の水害時は、国土交通省からポンプを借りて対応した。市河川課の担当者によると、導入により運転開始までの時間を短縮でき、同時に3カ所で排水が可能になる。
 今月10日、市西部の沼川流域全体で水害対策に取り組む水災害対策プラン案を公開した。流域に関わる県や市の関係機関で構成する「沼川(高橋川)流域治水協議会」が5月下旬に素案をまとめたが、6月の大雨被害を受けて内容を再検討した。修正後のプランには、排水ポンプ車と排水ポンプ設備の導入▽原地区への土のうステーション増設―を追加。パブリックコメントを受け付け、地元団体への説明会を予定している。
 19年の台風19号で浸水被害を受けた大平地区では、22年度に公表した同地区水災害対策プランに基づき、9月下旬に大平江川の排水機場整備工事を開始した。工事の影響で民家が地盤沈下するのを防ぐため、河口付近の右岸に矢板の設置工事に着手。26年度の供用に向け、12月に排水機場の築造工事を開始する予定。
 同課の担当者は「6月は市西部や大岡地区の被害が大きかったが、大平地区も再び冠水被害の可能性があった。排水機場整備を着実に推進し、早期に被害軽減を図りたい」とした。
 (東部総局・菊地真生)

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