保護猫助けて! 飼育負担急増、CFで運営費募る 富士のNPO 

 保護猫約160匹をシェルターで飼育するNPO法人「捨て猫をなくす会」(富士市日乃出町)が、ペットフードの高騰や医療費の増加により苦境に立たされている。運営資金をクラウドファンディング(CF)で募っている。同会の鈴木美晴代表(61)は「飼い主が見つからない猫が最期の瞬間まで幸せに暮らせる環境を維持したい」と協力を呼びかける。

約160匹の行き場のない猫が暮らすシェルター=9月中旬、富士市内
約160匹の行き場のない猫が暮らすシェルター=9月中旬、富士市内


 頻繁にくしゃみをする子。しっぽや耳がちぎれている子。シェルターにはさまざまなハンディを抱え、飼い主が見つからない猫が暮らしている。同会は2005年に発足し、地域で捨てられ繁殖した猫に不妊手術を施してきた。住民からふん尿被害の相談を受けて外に戻せない場合や傷病の猫はシェルターで保護。高齢の飼い主の死去や多頭飼育崩壊による引き取り依頼も受け付ける。行き場のない猫の“ついのすみか”としてこれまでに500匹以上を飼育してきた。
 昨年4月ごろを皮切りに穀物など原材料の高騰を受けペットフードが軒並み10~20%値上がりした。160匹分をまかなう同会の負担は急増。活動18年目を迎えシェルターに住む猫の高齢化は著しく、投薬や入院代など医療費もかさむ。「お金を理由に必死に生きる命を見捨てられない」(鈴木代表)。餌代も医療費もコストカットできない活動費だ。鈴木代表は会社勤務で得た給料を全額運営に充ててきたが財務状況は厳しくなっている。
 市や保健所からの保護依頼は後を絶たない。一方で全国的に犬猫の殺処分は減少傾向。静岡県内でも昨年度の殺処分数は過去最少だ。背景には愛護団体の努力がある。鈴木代表は「『保護されたら一安心』と考える人が多いが、その後の動物の生活や団体の活動にも目を向けて」と力を込める。
 CFの目標額は500万円で専用サイト「レディーフォー」で募っている。18日までに226人から約470万円が寄せられている。
 (富士支局・沢口翔斗)

いい茶0
あなたの静岡新聞 アプリ
地域再生大賞