井戸から国基準値10倍のPFAS検出 静岡市清水区の化学工場、敷地の外で

 発がん性が疑われる有機フッ素化合物(PFAS)を使用していた静岡市清水区三保の化学工場従業員の血液から高濃度のPFASが検出された問題で、工場敷地外の井戸で24日に採取した水から国の目標値を10倍以上上回るPFASが検出されたことが、京都大准教授と静岡新聞社の調査で25日までに分かった。内部資料から2006年12月、工場敷地内南西にある井戸から目標値の3万8千倍以上に当たるPFASの一種PFOAが検出されていたことも明らかになった。

三井・ケマーズフロロプロダクツ清水工場(中央)周辺には民家や畑も広がる=23日、静岡市清水区三保(静岡新聞社ヘリ「ジェリコ1号」から)
三井・ケマーズフロロプロダクツ清水工場(中央)周辺には民家や畑も広がる=23日、静岡市清水区三保(静岡新聞社ヘリ「ジェリコ1号」から)
三井・ケマーズフロロプロダクツ清水工場敷地内の井戸水に含まれるPFOAの濃度などを示す資料群
三井・ケマーズフロロプロダクツ清水工場敷地内の井戸水に含まれるPFOAの濃度などを示す資料群
静岡市清水区三保の化学工場周辺の濃度(ng/l)
静岡市清水区三保の化学工場周辺の濃度(ng/l)
三井・ケマーズフロロプロダクツ清水工場(中央)周辺には民家や畑も広がる=23日、静岡市清水区三保(静岡新聞社ヘリ「ジェリコ1号」から)
三井・ケマーズフロロプロダクツ清水工場敷地内の井戸水に含まれるPFOAの濃度などを示す資料群
静岡市清水区三保の化学工場周辺の濃度(ng/l)

 工場は、現在の三井・ケマーズフロロプロダクツ清水工場。00年代初頭まで年間10トン程度のPFOAを大気中や敷地外の水路に排出し、07年までに排出をほぼ全廃。13年には使用自体を工場全体で廃止した。
 敷地外の井戸のPFASの濃度は、京都大医学研究科の原田浩二准教授(環境衛生学)が分析。静岡新聞社が地主の許可を得て、工場敷地内南西の井戸から半径数百メートル以内にあり、地下5~10メートルから採水する家庭菜園用の井戸2カ所から24日採水した水を調べた。現在製造や輸入が禁止されているPFASの一種PFOAとPFOSの1リットル当たりの濃度は534・72ナノグラムと234・68ナノグラムとなり、同50ナノグラムとする目標値の10・6~4・6倍だった。
 原田准教授は「過去の経緯から清水工場由来のPFASであると考えてよいだろう。行政は広範囲の地下水、土壌調査を行う必要がある」と指摘した。
 内部資料によると、06年12月時点で工場敷地内南西の井戸からは、国の目標値の3万8760倍となる1リットル当たり193万8千ナノグラムを計測。PFOA排出をやめた07年3月にも目標値の1万6880倍の同84万4千ナノグラムだった。三井・ケマーズ社は「工場敷地内の井戸の濃度は一定頻度で調査している。調査データは開示していない」とした。

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