記者コラム「清流」 初めての「お相撲さん」

 幼い頃、巡業に来ていた「お相撲さん」を街角で見かけた。体の大きさに驚き、びんつけ油から来る甘い香りに気品を感じた。何という名の力士かは忘れたがあの時の衝撃は今も頭から離れない。
 焼津で4年ぶりに大相撲の巡業が行われた。100人ほどの力士がそろい踏みする光景は圧巻。大柄の男同士がぶつかった時の音を間近で聞くだけでその迫力を味わえた。何よりほほえましかったのは子どもたちの声援。場内には土俵に向かって地元力士のしこ名を呼ぶかわいらしい声が響き渡った。土俵で見せる表情と異なり、福々しい顔を浮かべ、サインや握手に応じる力士の姿も見られた。
 「お相撲さん」に触れた子どもたちはどんな感想を抱いただろうか。ただ大相撲を見る目は変わったような気がする。
 (焼津支局・福田雄一)

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