静岡市清水区の橋桁落下事故 11月1日、工事再開 完成は遅れる見込み

 静岡市清水区尾羽の国道1号静清バイパス「清水立体工事」で設置作業中の橋桁が落下し8人が死傷した事故で、国土交通省静岡国道事務所は31日、停止している3工区の工事を11月1日に再開すると発表した。7月6日の事故以降、工事は約4カ月間ストップしていた。完成は遅れる見込みで、上りの開通は当初予定の2026年春に間に合わないとみられる。

重さ約140トンの橋桁が落下した事故現場=7月6日午前、静岡市清水区尾羽(本社ヘリ「ジェリコ1号」から)
重さ約140トンの橋桁が落下した事故現場=7月6日午前、静岡市清水区尾羽(本社ヘリ「ジェリコ1号」から)

 3工区は、名村造船所(大阪市)と日本鉄塔工業(東京都)の共同企業体(JV)が施工していて事故が発生した工区1カ所と、事故が起きたのと同じ「横取り降下」と呼ばれる工法を用いる2カ所。
 業務上過失致死傷容疑による県警の捜査や、労働安全衛生法違反容疑に基づく静岡労働基準監督署の調査は現在も継続している。

開通遅れ 運送業界「残念」  静岡市清水区尾羽の国道1号静清バイパス「清水立体工事」で設置作業中の橋桁が落下し8人が死傷した事故。国土交通省静岡国道事務所は、現在停止している工区の工事を11月1日に再開させる。ただ、2026年春の上り開通予定は遅れる見込みで、期待していた地元運送業界からは残念がる声が聞こえる。
 8人が死傷した橋桁落下事故の起きた清水立体工事の2・4キロは、国道1号静清バイパス(24・2キロ)の中で唯一平面で残る区間。完成すると、東名清水インターチェンジを出て、新興津コンテナターミナル近くまで信号無しで行ける。利便性向上で大都市圏の港に優位に立つことができる可能性がある工事に期待する声は従来、大きかった。
 このため、完成が遅れることに同区の大手海貨業者の60代男性役員は「『2024年問題』を機に、運送業界ではドライバーの労働環境や脱炭素などが注目を集めている。(清水立体の完成は)以前から港内での荷物の積み降ろし待ち時間の短さがアピールポイントの清水港地域を一層他県に売り込む材料だった。開通延期は誠に残念」と述べた。同事務所によると、資材高騰などにより、事故が起きた工区で橋桁を一から新しく作り直す資材などが手に入りにくくなっている。このため、工期がどの程度遅れるかは見通せないという。
 事故は今年7月6日未明に発生。事故原因を調べる同事務所の事故調査委員会(委員長・舘石和雄名古屋大教授)は、(1)橋桁をつる仮設部材のセッティングビーム(仮受け桁、約11トン)の枕木の役割を果たす架台を不安定に設置(2)仮受け桁が架台から落下(3)橋桁とのボルト接続部が破断|の段階を経て落下事故が起きた、などとした。

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