川端康成や芥川龍之介 伊豆愛した文豪の逸話 ゆかりの旅館おかみが紹介 東アジア文化都市
富士・箱根・伊豆国際学会(五條堀孝会長)は31日、伊豆の温泉文化を考えるイベントを沼津市のプラサヴェルデで開いた。伊豆を愛した文豪とゆかりの深い温泉旅館のおかみや大おかみ4人がパネル討論し、文豪たちの逸話を披露した。
討論で川端康成の「伊豆の踊子」の舞台となった福田家(河津町)の稲穂照子さんは、川端宅で秘書をしていた際、多くの書を残した川端のため「墨をするのが仕事だった」と明かした。新井旅館(伊豆市修善寺)の森桂子さんは、風呂嫌いだった芥川龍之介が旅館の風呂を「水族館のようだ」と家族に勧めたエピソードを紹介した。
地元出身の井上靖が常連だった伊豆市湯ケ島「白壁」の宇田倭玖子さんは、石川さゆりさんの曲「天城越え」も自身の旅館で作られたと紹介した。太宰治が「斜陽」を執筆した安田屋旅館(沼津市)の安田康江さんは、人気アニメ「ラブライブ!サンシャイン!!」の“聖地”としてファンが訪れている現状を語った。
イベントは同学会主催のフォーラム「東アジアDNAの源流と、文化・芸術の多様な未来」と県主催の「ふじのくに食と温泉文化フォーラム」の二つの関連行事として開催。温泉文化とウェルネス、情報通信技術(ICT)について考えるパネル討論なども行った。
(東部総局・尾藤旭)