清水区化学工場排水PFAS 国指針値の2~10倍検出 2~8月調査、静岡市長発表

 発がん性などが疑われる有機フッ素化合物(PFAS)が、静岡市清水区三保の化学工場周辺の民家の井戸から10年前に使用中止した後も高濃度で検出されている問題で、2023年2~8月に工場側が行った排水の調査で国の指針値の2~10倍の濃度の水が敷地外の水路に流れ出ていたことが1日、明らかになった。8月に会社が対策を講じた結果、9月以降は指針値を超過する日が減っていたことも分かった。
工場北側の敷地外の水路から静岡市の調査で高濃度のPFASが確認された三井・ケマーズフロロプロダクツ清水工場=10月30日、同市清水区三保(静岡新聞社ヘリ「ジェリコ1号」から)
 難波喬司市長が同日の記者会見で明らかにした。発表によると、PFASのうち現在は輸入や製造が禁止されているPFOAについて、清水工場を運営する三井・ケマーズフロロプロダクツは、2~8月に月1回排水中の濃度調査を継続。プラント内部で操業上の対策を講じた後の9月以降は調査日数を増やし、同月は7日のうち3日、10月は13日のうち2日で河川や地下水の指針値である1リットル当たり50ナノグラムを超過した。
静岡市が調査した河川や水路のPFASの濃度
 市が10月10~11日に市内6カ所の水路や河川で行った、PFOAとPFOS(輸入・製造がPFOA同様禁止のPFASの一種)の調査結果も会見で明らかになった。清水工場からの排水が出た直後の北側公共水路では、指針値の5・4倍となる1リットル当たり270ナノグラムを検出。水路以外の安倍川や興津川などではいずれも指針値を下回った。
 市は10月31日から11月30日まで、水路周辺2カ所でPFOAなどの調査を継続している。近く工場敷地外の周辺5カ所の井戸の地下水の調査結果も公表予定。難波市長は「ただちに対応が必要な事態ではないが、危機感を持って対応する。(地下水の結果を待ち)工場内の井戸水の調査結果もしかるべき時期に会社から出してもらう」とした。

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