行楽シーズン 山岳遭難注意 静岡市消防局管内 例年上回るペース 「情報集め 無理せず」

 秋の行楽シーズンを迎え、静岡市消防局が山岳遭難への注意を呼びかけている。管内の山岳遭難救助件数は毎年度20件前後で推移しているが、本年度は10月末時点ですでに21件と、例年を上回るペース。新型コロナウイルス禍での行動制限がなくなり、久々に登山する人の遭難事案も懸念され、同消防局の担当者は「山の情報収集や装備を万全にし、体調や体力を考えて決して無理をしないで」と訴える。

要救助者を運ぶ訓練に臨む山岳救助隊員=10月下旬、静岡市葵区
要救助者を運ぶ訓練に臨む山岳救助隊員=10月下旬、静岡市葵区

 同消防局によると、2019~22年度は山岳遭難による救助事案が17~22件発生した。本年度、10月末までに発生した21件のうち、3千メートル級の山が連なる南アルプスでの救助事案が半数以上の12件を占める。
 同消防局は千代田消防署しずはた出張所(葵区下)に山岳救助隊員を20人配備し、「滑落してけがを負って動けない」「道に迷って場所が分からなくなった」などの救助要請に対応している。事案や発生場所によっては天候回復や日の出を待つ必要があり、一つの救助活動が数日がかりになることもあるという。
 10月下旬の同区内での訓練では、負傷して歩けなくなった要救助者に見立てた人形を折りたたみ式担架に乗せ、隊員4人で足場の悪い傾斜のある山道を運び出す流れを確かめた。しずはた山岳救助隊の望月一樹隊長は「山の天気は変わりやすく、すぐに救助できる場所ばかりではない。けがや道迷いに十分気をつけて登山を楽しんでほしい」と呼びかける。
 (社会部・小沢佑太郎)

いい茶0
あなたの静岡新聞 アプリ
地域再生大賞