決めた、都大路! 男子は浜松日体9度目V 女子は浜松市立が2年ぶり頂点 静岡県高校駅伝

 第74回、女子第36回県高校駅伝は4日、袋井市のエコパスタジアムを発着点に行われ、浜松日体と浜松市立が都大路(京都)への切符を手にした。
 男子(7区間42・195キロ)の浜松日体は1区古井海成が2位発進。2区佐藤瑞城で先頭に出て、5区竹下諒の区間新でリードを広げ2時間10分4秒で2年ぶり9度目の優勝を飾った。韮山は1区片岡晴哉ら3人が区間賞で2年連続2位。浜松開誠館が3位だった。
浜松日体1区の古井(右)からたすきを受け取る2区の佐藤=小笠山運動公園(写真部・二神亨)
 女子(5区間21・0975キロ)の浜松市立は3区鈴木しえるで首位に立ち、4区鳥居夕里佳、5区沢田結弥の連続区間新でエコパコース初の1時間11分台(1時間11分46秒)で2年ぶり2度目の頂点に立った。浜松工は1区鈴木結莉乃、2区安井友真里の連続区間賞で過去最高の準優勝。昨年覇者の日大三島は3位だった。
 全国高校駅伝(京都・都大路)は12月24日に行われる。上位6校が東海高校駅伝(26日、エコパ周回コース)に出場し、全国大会が第35回記念の女子は各県の優勝校を除く最上位校が東海代表として全国出場する。
浜松市立2区の大谷(右)からたすきを受け取る3区の鈴木=小笠山運動公園(写真部・二神亨)

 スピード差「強さ」で帳消し
 トラックタイムでは測れない“駅伝力”を見せつけ、浜松日体が王座を奪還した。5000メートル14分前半のエースはいないが、「どんな条件でも走れる強さを目指してきた」と主将の4区小川。気温24度の暑さをものともせず全7区間で区間2位以上。1人も崩れずたすきをつないだ。
 エースが集う1区で2年古井が区間2位。「集団走は得意。自分の流れ」と1キロ3分8秒のペースに乗り、残り3キロの上りで仕掛けた。県高校ランク1位の片岡(韮山)にわずか2秒差。都大路への流れはできた。
 光ったのは3キロ区間の1年生。2区佐藤が400メートルで首位を捉えれば、5区竹下は1キロを想定より5秒速い2分50秒で入り、2秒差で迫る浜松開誠館を突き放した。「後ろに強い先輩がいる。安心して走った」と竹下。区間新でリードを28秒に広げ勝負を決めた。
 5000メートルはチーム最速の小川でも14分52秒と、他校のエースより20秒遅い。だが、私生活から律して高めた精神力と、ロードで鍛えた対応力でスピード差を帳消しにした。特に起伏とカーブが多いエコパコースでは「最短距離のコース取り、上りの走り方などを先輩から受け継がれてきた」と3区山本。過去8度の優勝で培われた伝統がものをいった。
 2年前の全国は36位。小川は「県は通過点。20位以内を目指す」と雪辱を期す。高速化が著しい都大路でも、持ち味の「強さ」を発揮するつもりだ。
 (山本一真)

 1、6、7で区間賞 韮山2位食い込む
 韮山のアンカー川村が残り200メートルで浜松開誠館を逆転し、2位に食い込んだ。1区片岡、6区漆原、7区川村の3年生3人が区間賞の激走。37秒差をひっくり返した川村は「区間賞を狙って突っ込み過ぎたけれど、コース途中で引退した3年生(同級生)が一緒に走ってくれて力になった」と感極まった。
 最長区間(10キロ)を任された片岡は「暑かったので、脱水だけを恐れていた」と給水のタイミングに気を配りながら、前半を抑え気味に入った。後続を引き離すことはできなかったが首位でたすきリレーし「やれるだけのことはやれた」と納得の表情を見せた。3年生の多くが高校で競技を退く。集大成となる東海高校駅伝に全てをぶつけるつもりだ。

 後半爆発 初の1時間11分台
 狙い通りのレース運びだった。3区で首位に立った浜松市立がそのまま2位との差を1分51秒に広げ、エコパコース最高記録を打ち立てた。アンカー沢田は5区(5キロ)をただ一人16分台で走る異次元の区間新。「みんなで高め合って成長できた。このチームで優勝できたことを誇りに思う」と満面の笑みでゴールテープを切った。
 前年の悪夢を払しょくした。昨年、1区を担った沢田は先行逃げ切りプランに従いハイペースで飛ばし、中継所を目前にして脱水症状が出て転倒。チームも連覇を逃した。今年も汗ばむ陽気となったが、アンカーに配置された沢田は「落ち着いて自分のレースをしようと思った。1週間前からしっかり水分を取り、準備してきた」。
 前半は逃げる浜松工に食らい付き、後半の逆転を狙った。1区の匂坂は「区間賞を取りたかったけれど(1位との差を)詰められる範囲内でいく」と2秒差に付けた。2区大谷も「チームの役に立つ走りを」と勝負に徹した。1位と5秒差でたすきを受けた3区鈴木が「突っ込み過ぎないよう、我慢するところは我慢した」と中盤の1・5キロ付近で満を持して先頭に出ると、4区鳥居が33秒差に広げて沢田につないだ。
 チーム内競争は激しくなり、区間賞の鳥居が「県でいい走りをしないと都大路を走れないと思った」と危機感を抱くほど。2年ぶりの全国へ。鈴木は「この1年間都大路に向けて頑張ってきた。挑戦者として攻める走りをしたい」と宣言した。
 (結城啓子)

 浜松工 3本柱活躍 過去最高の2位に
 浜松工は鈴木、安井、米倉の3本柱が機能し過去最高の2位。優勝を逃した悔しさはあるが、3区途中まで先頭を走り地区代表枠を懸けた東海大会へ手応えもあった。
 気温20度超の季節外れの暑さにも1区鈴木が果敢に飛び出し区間賞。主将の2区安井も区間1位でトップを守った。ただ、優勝した浜松市立とは5秒差。先行逃げ切りに持ち込めず、鈴木は「自分で30秒差をつけたかった」と唇をかんだ。
 記念大会の女子は東海大会でもう一度、チャンスがある。安井は浜松細江中時代に県中学駅伝を制したが、コロナ禍で全国大会が中止された。「まだ駅伝で全国に出られていない。東海は絶対に勝つ」。エコパコースの地の利を生かし、都大路への切符をつかむ。


  ▶【写真特集】静岡県高校駅伝 優勝校

  ◇…男 子…◇
 ①浜松日体(古井、佐藤、山本、小川、竹下、小野、原田)2時間10分4秒②韮山(片岡、山岸、長谷川、船生、関、漆原、川村)2時間11分17秒③浜松開誠館(栗田、渡辺、辻本、岡元、鈴木、粟倉、河口)2時間11分21秒④御殿場西⑤藤枝明誠⑥加藤学園⑦日大三島⑧浜松市立⑨常葉大菊川⑩浜松商⑪静岡東⑫静岡⑬富士宮北⑭浜松工⑮島田⑯伊豆中央⑰磐田農⑱三島南⑲掛川西⑳浜名(21)磐田南(22)富士(23)浜松北(24)沼津東(25)浜北西(26)静岡商(27)焼津中央、東海大翔洋=途中棄権(オープン参加=伊豆伊東・稲取、天竜・湖西、藤枝北・藤枝東、松崎・池新田・遠江総合・沼津市立)
  ◇…女 子…◇
 ①浜松市立(匂坂、大谷、鈴木、鳥居、沢田)1時間11分46秒=エコパコース最高②浜松工(鈴木、安井、岩田、太田、米倉)1時間13分37秒③日大三島(世古、長田、関口、大橋、大川)1時間14分20秒④常葉大菊川⑤東海大翔洋⑥浜松商⑦島田⑧磐田南⑨富士市立⑩サレジオ⑪韮山⑫藤枝東⑬加藤学園⑭浜松開誠館⑮浜松湖南⑯三島南⑰静岡市立⑱富士⑲焼津中央、浜松南=途中棄権(オープン参加=沼津市立・下田、沼津東・伊豆中央、松崎・田方農・池新田、静岡・富士宮北、伊豆伊東・稲取)

 

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