神津島のラン科植物、雑種化 送粉者に適応、繁殖しやすく ふじミュー早川准教授ら発見

 伊豆諸島の神津島に分布するラン科の植物が、送粉者のツチバチの特徴に合わせる目的で近縁種と交わり雑種化していることを、神戸大大学院末次健司教授、ふじのくに地球環境史ミュージアム早川宗志准教授らの研究グループが突き止めた。植物の進化や生態系に及ぼす影響を理解する手がかりになる。

アケボノシュスランに飛来したツチバチ=神津島 (C)Shitara Takuto
アケボノシュスランに飛来したツチバチ=神津島 (C)Shitara Takuto

 グループは約10年にわたる同島のラン科植物アケボノシュスランの観察により、①本土の主要な送粉者であるマルハナバチがいない同島ではツチバチが花粉を運んでいた②マルハナバチに比べて蜜を吸う器官「口吻[こうふん]」の短いツチバチに花粉を運んでもらうため、アケボノシュスランは花筒(花の筒状になった部分)が短い別のラン科植物との交雑し雑種化していた―との結論を得た。これまでアケボノシュスランと考えられていた種は、DNA分析の結果、雑種であることも判明した。
 早川准教授は研究結果について「マルハナバチをはじめ受粉者の減少が世界的な問題となっている。彼らがいなくなった場合、植物や生態系にどんな影響があるのかを考察する材料になる」と話した。
 国際学術誌「New Phytologist」にオンライン掲載。2024年1月8日まで、静岡市駿河区のふじのくに地球環境史ミュージアムで関連資料を展示している。
 (教育文化部・橋爪充)

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