記者コラム「清流」 ヒジャブとアジア大会

 2014年に韓国・仁川で開催されたアジア大会を取材した際、中東の女子選手が頭を覆う布「ヒジャブ」をかぶって競技に臨む姿が印象的だった。
 戒律の厳しいイスラム圏では、スポーツへの女性進出が遅れがちとされる。当時の彼女たちも感情を押し殺してプレーしているように映った。だが今秋、中国・杭州で行われたアジア大会では、ヒジャブ姿の選手が力強く動き、雄たけびを上げる光景を目にした。個人差かもしれないが、9年の時を経て何かが変わっている気がした。
 「アジアのオリンピック」は次回で20回目。競技数は五輪を上回り、開催地の負担は増す。存続の危機や大会の意義が問われる時が来るかもしれない。ただ、この大会が今も、アジアのスポーツ界を発展させているのは間違いない。
(運動部・山本一真)

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