静岡人インタビュー「この人」 ICT教育支援システムを開発した「ロイロ」代表取締役 杉山浩二さん(神奈川県)

 2007年、兄の杉山竜太郎代表取締役(48)とソフトウエア開発会社を共同創業した。20年春のコロナ禍に伴う全国一斉休校を機に、同社が開発したICT教育用システム「ロイロノート・スクール」が全国の小中高校で一気に普及した。伊豆の国市出身。46歳。

杉山浩二さん
杉山浩二さん

 -システム開発の経緯は。
 「学生時代からCGを使った映像を兄弟で制作し、ともにゲーム会社に就職した。2000年代は動画編集の難易度が高かったため、パソコン初心者も扱える動画編集プログラムを開発し、独立した。その後、動画編集ソフト『ロイロスコープ』がヒット。このソフトを応用し、教員の意見を取り入れてクラウド式の教育版システム『ロイロノート・スクール』を開発した」
 -どのような特徴か。
 「生徒が主体的に学び合う双方向授業に向いている。タブレットを通じて、ノートや課題を生徒・教員間でやりとりしたり、模造紙や付箋紙のように使って考えをまとめたりできる。動画や写真などを使った発表資料の作成も簡単にできる」
 -コロナ禍以降の変化は。
 「オンライン授業が普及し、20年春はアクセス数が10倍近く伸長した。国がギガスクール構想を発表した19年と比べ、今秋時点で利用自治体が12倍に増加。教員向け研修を行っていない学校でも導入が進んでいる」
 -システムの課題、展望は。
 「宿題の添削、回収など、多忙な教員の業務改善につなげたい。労働環境や授業のあり方など学校現場は今転換期にあるが、ICTをうまく生かせば効果は大きい。原点は動画編集ソフトなので、創作に向いているツール。現場から子どもの表現活動が活発化する独自の使い方が生まれればうれしい」
 (東部総局・菊地真生)

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