臨時列車は取りやめ SL運行に影響も 大井川鉄道緊急停車事故

 大井川鉄道(本社・島田市)は30日、臨時列車が発車直後、先頭の電気機関車と客車をつなぐ連結器が外れ緊急停車した事故を受け、12月末まで予定していた同じ臨時列車の運行を取りやめることを決めた。原因調査に伴い車両の運用再開の見込みが立たないため。電気機関車は蒸気機関車(SL)の運行補助にも使用されていることから、大鉄は週末のSL運行を一部区間で普通電車に切り替える。観光面で影響が出始めている。

客車をけん引する電気機関車。SLの補助機関車としても活躍していた=10月下旬、島田市の大井川鉄道新金谷駅
客車をけん引する電気機関車。SLの補助機関車としても活躍していた=10月下旬、島田市の大井川鉄道新金谷駅

 臨時列車の「普通客車列車」は電気機関車が旧型客車をけん引する期間限定の企画。レトロな雰囲気が人気を集め、6~7月に実施した際は延べ2千人以上が乗車した。10月から増発運行するなど集客面でも期待されていた。
 大鉄は元々電気機関車を補助機関車としてSLの最後尾に連結させ、復路で客車をけん引させていた。電気機関車は4両所有しているが、うち2両が検査中や修理待ちで現在は1両しか使用できない。2、3日はきかんしゃトーマス号とSL急行かわね路号を同時に運行させるため、かわね路号はSLでの運転区間を短縮し、一部区間で普通電車に乗り換えてもらう。
 経営企画室の山本豊福さん(58)は「紅葉シーズンのピークは過ぎているが、営業面で影響は避けられない」と懸念する。
 運輸安全委員会が29日に派遣した鉄道事故調査官は30日も現地を調査し、現場の家山駅で線路状況などを確認した。同委員会は連結器が外れた電気機関車と客車の保全を求めている。
 事故は28日午後に発生。家山発金谷行きの臨時列車が家山駅を発車直後、電気機関車と客車をつなぐ連結器などが外れ、非常ブレーキが作動して緊急停車した。乗客ら86人にけがはなかった。国土交通省は事故につながりかねない重大インシデントに認定した。

あなたの静岡新聞 アプリ
地域再生大賞