格好良い女性像追う 劇団代表・草野冴月さん(静岡市葵区)【表現者たち】

 静岡女子高(静岡市駿河区)演劇部の卒業生を主体にした「演劇ユニットHORIZON[ホライゾン]」はことし、旗揚げ10周年を迎えた。演出、脚本を手がける草野冴月代表(38)=静岡市葵区=は、節目の年の掉尾[とうび]を飾る12月公演に特別な作品を選んだ。多くの演劇関係者やファンの支持を得ている「演劇集団キャラメルボックス」の「サンタクロースが歌ってくれた」である。12月公演の稽古を見守る草野冴月さん。俳優は20代が中心。「静岡で演劇をやりたい女の子はウチに来ればいい」=11月下旬、静岡市葵区(写真部・二神亨)
 「高校1年の春、部活動紹介で演劇部がこの演目の小編を上演してくれて。『かっこいい。あそこに入りたい』と強く思った。それが演劇に関わるきっかけ」
 高校時代は40人ほどの部員と切磋琢磨[せっさたくま]し、演じることに全霊をささげた。大卒後、教職を得た静岡女子高で演劇部顧問に就任。再び舞台の世界に身を投じた。
 2013年6月、卒業生の熱意に突き動かされる形でHORIZON創設に参画。女性だけの劇団を率いてさまざまな演目を形にしてきた。5人で始めた劇団は、メンバーの入れ替わりがあったものの、看板を掲げ続けている。
 劇団代表、脚本家、演出家、俳優という四つの顔を使い分け、団員11人を輝かせようと舞台を磨き上げる。
 「『女性の格好良さ』が劇団のアイデンティティー。演出のイメージが先にあって、それに沿って脚本を書いていく。役者に役割の説明はするけれど、せりふの解釈はそれぞれに任せる。大切なのは役割の整理」
 近年人気の、漫画やアニメを原作・原案とした舞台芸術「2・5次元」にも目配りする。今夏は新選組を大胆に脚色した作品を上演し、清新な衣装をまとった剣士たちによる華麗な殺陣を披露した。「みんなに『目指せ、2・75次元』と言っている」。現実からかけ離れすぎない地点で、日常のフレームを少しだけ揺らす。そんな演劇が身上だ。自分たちが生まれ育った場所で、実験を繰り返す。8月のHORIZON第17回公演「Roar」は草野さんの脚本・演出。新選組の新人隊士の成長譚[たん]=静岡市清水区のマリナート(写真部・坂本豊)
 「県外から客を呼べる劇団になりたい。静岡で、ずっと続けていく」
 (教育文化部・橋爪充)

 演劇ユニットHORIZON第18回公演「サンタクロースが歌ってくれた」は、16、17の両日、静岡市清水区のサウンドシャワーアーク清水で。各日午後1時、6時開演。入場料などは公式SNSを参照。

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