「ビキニ事件」悲劇の意味問う 3日焼津で舞台 劇団「燐光群」

 1954年、太平洋・マーシャル諸島のビキニ環礁で米国の水爆実験により焼津港所属のマグロ漁船「第五福竜丸」乗組員が被ばくした「ビキニ事件」をテーマにした舞台が3日午後3時から、焼津市三ケ名の焼津文化会館で開かれる。劇作家・演出家の坂手洋二さんが自ら収集した事件に関連するさまざまなエピソードをちりばめた内容で、間もなく70年を迎える悲劇の意味を問いかける。

(提供写真)ビキニ事件をテーマにした「わが友、第五福竜丸」(燐光群提供)
(提供写真)ビキニ事件をテーマにした「わが友、第五福竜丸」(燐光群提供)

 舞台は「わが友、第五福竜丸」で坂手さんが主宰する劇団「燐光群(りんこうぐん)」が演じる。東京・高円寺を皮切りに、焼津市、高知県、和歌山県串本町など全国7カ所で上演する。
 劇では、第五福竜丸の元漁労長見崎吉男さん、元乗組員大石又七さんといった被ばくした漁船員が抱えた葛藤、船体のその後、周辺海域の海水や魚の汚染状況を事件後に調べていた日本政府の調査船といった事件にまつわるエピソードをさまざまな視点で描いていく。東京電力福島第1原発処理水の海洋放出なども盛り込む。
 脚本を手がけた坂手さんは「乗組員は海が好きなごく普通の人。事件に遭遇したことで、大好きなことを奪われた彼らの悔しさ、悲しみを伝えたい」と語る。
 (焼津支局・福田雄一)

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