スズキ「スイフト」7年ぶり全面改良 「日常性、使いやすさ」前面 13日発売

 スズキは6日、7年ぶりに全面改良した世界戦略車の「スイフト」を13日に発売すると発表した。2004年の発売から4代目。歴代モデルが培った代名詞の「走り」「デザイン」の進化とともに、主要顧客の若年層の多様な価値観に合わせて日常性や使いやすさも前面に打ち出した。海外市場にも順次投入する。

  photo03 7年ぶりに全面改良した新型「スイフト」を発表した鈴木俊宏スズキ社長
 新開発の1.2リットル高効率3気筒エンジンや変速機を搭載し、燃費はモーターでエンジン走行を補助するマイルドハイブリッド(HV)のモデルで1リットル当たり24.5キロ(WLTCモード)と現行の21キロから向上させた。マイルドHVは国内で初めて5MT車(1月17日発売)に設定する。
 安全技術面では、運転手の居眠りや脇見などを検知して警報する「ドライバーモニタリングシステム」をスズキ車で初採用した。
 外観デザインは丸みを付加し、内部は運転手と一体感を高める設計とした。車体色は13種類で、地元浜松の晴天の多さや遠州灘、次世代のスズキをイメージした青の新色「フロンティアブルーパールメタリック」などを追加した。
 スイフトは169の国・地域で販売され、10月に累計台数約900万台を達成した。6日のオンライン記者会見で鈴木俊宏社長は「スズキはスイフトの誕生で大きく成長できた。クルマと日常を楽しめる存在に仕上げた」と強調した。
(浜松総局・山本雅子) 従来イメージにプラス Z世代にもアピール   photo03 (左)新型「スイフト」の外観(右)運転席側に傾けたスイッチ類など使いやすさに配慮したインテリア
   スズキが発売する新型小型車「スイフト」は、これまで特徴として押し出していた「走り」「デザイン」のイメージに、「日常の移動を遊びに変える」の価値観を加えて刷新を図った。取り回しのしやすさやドライバーの負担を軽減する最新の安全装備、通信技術コネクテッドの搭載などを、今後の消費を担う若年層「Z世代」をはじめ幅広い顧客にアピールし、競合が激しい小型車市場で存在感を高める。
 スズキによると、スイフト購入者の平均年齢は44・8歳で、他社の同様の車種と比較して10歳程度若い。20、30代の若者が約半数を占めるという。現行モデルはスタイル・外観、走りが重視され、高い走行性能を求める人向けとのイメージが先行し、購入の間口を狭める課題があった。世界戦略車として日本や欧州、インドのニーズを調査し、日常から趣味レジャーまで自分らしく過ごせる空間の創出など「価値観の変化や期待に応える商品を目指した」(小堀昌雄商品企画本部チーフエンジニア)としている。
 新型車は全長386センチ、全幅169・5センチ、全高150センチ。外観は歴代の低重心でワイド感を備えたスタイルを守りつつ、丸みも取り入れた。内部はドライバーを包み込む立体的な造形で、運転席から手の届きやすい位置にスイッチ類を傾けるなど操作性を高めた。新開発の高効率エンジンや変速機に加えて空気抵抗も現行より4・6%低減し、燃費性能と走行性を両立させたという。
 鈴木俊宏社長はオンライン会見で「細部までドライバーの使いやすさにこだわった。エネルギッシュで軽やか、洗練されたスマートコンパクト車だ」と語った。
 相良工場(牧之原市)で生産する。希望小売価格は税込み172万7千円から233万2千円。装備充実や原材料価格高騰を反映し17万6千円から28万3800円の値上げとなる。年間販売目標は3万台。

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