【D自在】「揺れたらダンゴムシ」でいいか?
震度6弱「立っていることが困難になる」。6強、7「立っていることができず、はわないと動くことができない」。気象庁の震度階級解説である。
先日、静岡市の地域防災訓練会場の一角で、NPO法人減災教育普及協会(横浜市)から、はってでも逃げることの大切さを教わり、子どもたちが指導される「ダンゴムシのポーズ」の再考を促された。身体を丸めて手で頭を守りじっとしていては、崩れる天井の下敷きになる恐れがあるという。
大けがをせず避難できた後での訓練も大事だが、揺れの最中をイメージし、諦めずに命を守る行動の備えをすべきだと。両ひざ立ちして脚を広げ、両手を床につけて前へ進む「カエルのポーズ」、腹ばいで前進する「トカゲのポーズ」の実演が参考になった。
協会は、企業や学校で事業継続計画(BCP)への助言やセミナーを行いながら避難訓練のアップデートを問題提起している。その一つのツールが「どこでも地震体験マット」。体験者は1.8メートル四方のマット中央でダンゴムシのポーズ。四隅を4人が持って動かして強い揺れを起こすとゴロンと転がった。
続いてカエルやトカゲの姿勢なら避難できることを体験。危険予測力と回避能力を向上させるのが狙いという。「その場所で想定される揺れの大きさを念頭に体験すると効果的」とNPOスタッフ。
静岡県が4台配備する起震車は1台数千万円。年間延べ600日ほど出動し、4万人近くが有意義な体験をしている。マットは1セット約10万円。こうして激しい揺れを体験しておくのもいいのでは。訓練で大切なのは、繰り返し体に覚えさせることだ。そう教わってきた。
(論説副委員長・佐藤学)