真珠湾攻撃82年「慰霊の火消さない」 静岡浅間神社で式典 渡米断念の医師菅野さん企画

 旧日本軍の真珠湾攻撃から82年となった8日、静岡市葵区の医師菅野寛也さん(90)が日米双方の犠牲者の慰霊式を同区の静岡浅間神社で開いた。菅野さんは例年米国ハワイでの慰霊行事に参列していたが、現地で支援してもらっていた関係者が亡くなり、今年は渡米を断念。それでも「慰霊、鎮魂の火を消したくない」と地元で慰霊式を企画した。

ハナミズキに献水する菅野寛也さん(奥)と妻雍子さん=8日午後、静岡市葵区の静岡浅間神社
ハナミズキに献水する菅野寛也さん(奥)と妻雍子さん=8日午後、静岡市葵区の静岡浅間神社

 菅野さんは真珠湾攻撃から50年がたった1991年から新型コロナ禍などを除き12月8日(現地は7日)に合わせてほぼ毎年ハワイを訪れていた。しかし、今年に入って米軍施設で開かれる慰霊祭に同行してもらっていた退役米兵の訃報が届き、単身では出席が困難になったという。
 菅野さんは静岡空襲で亡くなった市民と、空中で衝突して墜落死した米軍B29爆撃機の搭乗員を追悼する合同慰霊祭も1972年から同区の賤機山山頂で主催している。米政府から友好の証しとして贈られたハナミズキの木が植えられている境内の池のほとりで開いた今回の式典には、例年合同慰霊祭に参列する市民ら約20人が出席。菅野さんは妻雍子さん(80)とともにB29搭乗員の遺品の水筒でハナミズキに献水し、「今も世界では戦争が行われている。慰霊の気持ちを行事で示すことが平和への第一歩だ」と強調した。
 菅野さんによると、ハワイでも真珠湾攻撃を経験した元米兵の遺族や関係者の高齢化は顕著で、近年は政府が主導して慰霊祭を開いているという。現時点で来年のハワイでの慰霊祭に参列できる見通しは立っておらず、菅野さんは「現地で出席する方法を再構築しないといけない。世界平和や国際親善につながる行事なので、行政や政治に後押ししてほしい」と求めた。
 (社会部・小沢佑太郎)

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