ネットバンク悪用詐欺に警戒を 静岡県内で新手口続発 金融機関に警察依頼

 静岡県内で警察官や検事をかたり、ネットバンキングを悪用して高額現金をだまし取る特殊詐欺の新たな手口による被害が相次いでいる中、静岡市内だけでも11日までに計約5千万円に上る被害2件が新たに確認されたことが分かった。静岡中央署と静岡南署は同日、静岡市葵区と駿河区の金融機関が会員となる市金融機関防犯協会に対し、顧客への積極的な声かけなど対策を求める依頼書を提出した。

ネットバンキングを悪用した特殊詐欺の手口への警戒を訴える静岡中央、静岡南両署関係者=11日午前、静岡市葵区
ネットバンキングを悪用した特殊詐欺の手口への警戒を訴える静岡中央、静岡南両署関係者=11日午前、静岡市葵区

 静岡南署によると、駿河区で11月上旬、70代女性の口座から現金約860万円が、60代女性の口座から約3800万円がそれぞれネットバンキングを悪用して不正送金された。いずれも警官をかたる犯人から「利用する口座が危険にさらされている。安全な金融機関を教えるので口座を開設して全財産を移し替えて」などと電話があった。犯人がネットバンキング利用に必要な個人情報を聞き出し、被害者の口座で現金を不正送金したという。
 相次ぐ被害を受け、静岡中央署の及川博行署長や静岡南署の増田修刑事官らが市金融機関防犯協会の大橋美智子会長に依頼書を提出し、ネットバンク利用可能年齢と利用限度額の引き下げ、本人確認の明確化、積極的な声かけを求めた。及川署長は「金融機関の水際対策をすり抜けて被害が出ている。財産を守る最後の砦となり得る金融機関で一つでも多く対応をお願いしたい」と申し入れた。
 ほかにも9月以降、同様の手口で浜松市西区の60代女性が約6千万円、静岡市清水区の60代女性が約1300万円をだまし取られる被害が確認されている。ネットバンキングは携帯電話で利用できるため、自宅で誰の目にも止まらず作業できることや振込金額の上限設定が緩い点から高額被害となりやすい。60代が特に狙われているとみられる。
 (社会部・吉田史弥)

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