静岡市清水区の工場運営会社がPFAS対策 「遮水壁」を検討

 静岡市清水区三保の化学工場周辺の敷地外の井戸から、発がんとの関連が報告されているPFAS(ピーファス)が高濃度で検出されている問題で、三井・ケマーズフロロプロダクツ(東京都)は12日、清水工場敷地境界に地下遮水壁設置を検討するなどの対策を正式に発表した。難波喬司市長は同日の会見で、工場周辺に降った雨を集める市営の雨水ポンプ場の排水から、最大で国の指針値の220倍となる1リットル当たり1万1千ナノグラムのPFASが検出されたと明らかにした。

広範囲にPFASが拡散している実態が明らかになっている三保半島。奥は指針値を上回るPFASが井戸から新たに検出された折戸、駒越地区=10月下旬、静岡市清水区(本社ヘリ「ジェリコ1号」から)
広範囲にPFASが拡散している実態が明らかになっている三保半島。奥は指針値を上回るPFASが井戸から新たに検出された折戸、駒越地区=10月下旬、静岡市清水区(本社ヘリ「ジェリコ1号」から)
広範囲にPFASが拡散している実態が明らかになっている三保半島。奥は指針値を上回るPFASが井戸から新たに検出された折戸、駒越地区=10月下旬、静岡市清水区(本社ヘリ「ジェリコ1号」から)

 2013年までPFASの一種で現在製造・輸入が禁止されたPFOA(ピーフォア)を使っていた同社が一連の対策を公表するのは初めて。
 今も高濃度のPFASを含むとみられる敷地内の井戸水が漏れ出さないよう、敷地境界に地下遮水壁を設置することを検討するとした。地下水をくみ上げて活性炭除去装置で処理して排出する。土壌分析と掘削除去を行うほか、土壌表面をコンクリートで覆うことを検討する。
 難波市長は会見で、工場敷地周辺の地下3~5メートルに埋設されている市の雨水幹線が接続する、工場北側の市営三保雨水ポンプ場の排水から、市が11月に行った8回の調査で1リットル当たり3900~1万1千ナノグラムを検出したことを明らかにした。
 工場敷地外南西の雨水幹線のマンホールからは、河川や地下水の指針値の500倍となる1リットル当たり2万5千ナノグラムを検出していて、難波市長は「工場内の地下水の濃度が高く(通常は雨水幹線には入らないが、管に破損などがあり)流入したのでは」との見方を示した。
 三保半島の付け根に当たる折戸や駒越地区の井戸計5カ所からも指針値を3~7・2倍上回るPFASが検出されたことも明らかになった。難波市長は「(三井ケマーズ社の)煙突からの排気を通じ拡散した可能性がある」と指摘した。
 静岡新聞社が入手した内部文書では、同社は1999年の気象データを基に工場敷地内南西の煙突からPFOAが大気中に拡散する様子をシミュレーションしている。それによると、1立方メートル当たり1マイクログラム(1千ナノグラム)程度のPFOAを含んだ大気が半径数百メートルに拡散していたとみられる。
 静岡市はPFASに関する情報発信を特設HPで行っている。URLは<https://www.city.shizuoka.lg.jp/503_000040.html>

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