静岡農産物を県内で製菓材料に 調達~加工の浜松・平出章商店 「地元の生産者、菓子店つなぐ」

 製菓材料卸の平出章商店(浜松市東区)は、地元の農産物生産者と和洋菓子店をつなぐプロジェクトに力を入れている。農産物の調達から加工までをワンストップで請け負い、製菓材料にする事業。捨てられるレモンの皮などの未利用品も活用し、食品ロス削減や生産者の所得向上につながっているとして12月に環境省主催の表彰で特別賞を受けた。

プロジェクトの課題と発展に向けた構想を説明する泰沢友和さん=浜松市東区の平出章商店
プロジェクトの課題と発展に向けた構想を説明する泰沢友和さん=浜松市東区の平出章商店


 プロジェクトは地元の農産物を使い、付加価値を高めたい菓子店に材料を提供しようと、2016年に始めた。これまでに浜松産のレモンや小玉ミカン、県産イチゴの紅ほっぺを半液体状にしたピューレなど約10の材料を自社商品化した。ケーキやパンなどに利用され、取引先は延べ100件以上という。
 製菓メーカーなどから県産イチゴのジャムや紅はるかのペーストなどの加工請負も増やし、プロジェクトの22年の売り上げは19年比で約4倍の3200万円に伸びた。
 一方、県内には加工場が少なく、農産物を加工するには九州や北陸など遠方の業者に一度、原料を送る必要が生じているという。輸送による品質の劣化や、二酸化炭素排出量削減、物流業界の人手不足が深刻化する「2024年問題」への対応に向け、県西部に加工場を設けて、生産者や加工業者などが共同運用する倉庫の開設といった新たな事業計画を練る。
 プロジェクトを発足から手がける、つながり創造事業部の泰沢友和さんは「地域で生産から加工までできる環境を整え、農産物加工に関わる情報ネットワークをつくりたい」と話した。
 (浜松総局・白本俊樹)

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