静岡人インタビュー「この人」 地元高齢者らの移動支援に取り組む磐田市南御厨地域づくり協議会の会長 村松直司さん(磐田市)

 買い物や通院の交通手段を持たない高齢者らを無償送迎するサービスの企画・準備を主導した。9月に外出支援車両「もろこ号」の運行開始にこぎ着け、自らもボランティアで運転手を務めている。68歳。

村松直司さん
村松直司さん

 ―独自のサービスに乗り出した理由は。
 「2020年10月に地域を通っていた路線バスが撤退した。高齢化率が高く、高齢者だけの世帯も多い地域なので、特に自動車の運転免許を持たない交通弱者が困った。市長からは『地域が知恵を出し、汗を流すなら支援は惜しまない』と言われた。住民アンケートも実施し、出たアイデアの一つが住民ボランティアによる移動支援サービスだった」
 ―どのように運行しているのか。
 「事前予約制で週3日、午前午後に最大4便ずつ運行している。車で15分程度の範囲内の商業施設や診療所などに送迎する。運転ボランティアは25人、利用登録者は約70人いる。車両のリース費用や運行経費は市の交付金で賄っているため、利用無料にできている」
 ―手応えは。
 「年金暮らしの高齢者でタクシーも度々使えず『どうやって生きていくのか』とまで言っていた人が、気軽に外出するようになった。高齢者が多い運転ボランティアに40代が参加してくれるようになるなど、地域の理解が広がっていると感じる」
 ―目指す地域像は。
 「協議会のスローガンは『お互いさまのこころが通う南みくり』。一方的に助けるだけでなく、一緒に行事を楽しんだり、互いに見守りや声かけをしたりと、人と人とのつながりを大切にし、豊かに暮らせる地域でありたい」
 (磐田支局・八木敬介)

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