記者コラム「清流」 仕事脳 

 入社してもうすぐ10年。記者の仕事に就いていなければ体験する機会がなかったであろう多くの行事に赴いた。記者の醍醐味(だいごみ)であり、豊富な体験と出会いは人生の財産だ。
 一方、近年は自分の“仕事脳”が気になっていた。行事の歴史や面白み、主催者の思い、来場者の感想などに触れると、無意識に脳内で原稿をつくり始める。仕事の意識が膨らみ、現地を楽しむ気持ちを押しのける。「心に余裕がないのかな」と悩むこともあった。
 娘が1歳半になり、時折妻子とイベントの会場などで合流するようになった。何にでも興味を持つ娘と出店を回っていると、仕事脳の時には見えなかった催しの魅力を発見でき、楽しむ心の大切さに再び気付くことができる。娘よ、ありがとう。父の原稿は少し、彩りを増しそうです。
 (御殿場支局・塩谷将広)

いい茶0
あなたの静岡新聞 アプリ
地域再生大賞