「土肥劇場」最後の映画祭 伊豆の古民家、ゆかりの瀬戸監督運営 取り壊し受け、大みそかまで復活

 伊豆市土肥の古民家を利用したお座敷映画館「土肥劇場」が期間限定で復活し、31日まで上映会を開いている。劇場を運営するのは、映画製作スタッフや俳優のグループ「ハコブネシネマ」(東京都)の代表で、映画監督でもある瀬戸慎吾さん(53)=東京都=。同劇場として使用してきた古民家を取り壊す話が持ち上がったため、最後の映画祭として全身全霊をかけて企画した。

土肥劇場で行う最後の映画祭に取り組む瀬戸さん=伊豆市の同劇場
土肥劇場で行う最後の映画祭に取り組む瀬戸さん=伊豆市の同劇場

 瀬戸さんは2014年、住民のエキストラ出演などの協力を得て、土肥を舞台にした映画「軽やかに地平を狙え!」を撮影した。15年には作品を地元の人に鑑賞してもらおうと、古民家(現・同劇場)を借りて初の上映会を開いた。19年までに夏季限定で5回、同劇場での映画祭を開催し、当時は全国からお客さんも来ていたという。ただ商売が厳しく、数カ月間準備などで拘束されることから、本業の映画製作に集中するため、同年で閉館した。
 今回は大ヒットした「ラ・ラ・ランド」「RRR」「竜二」など、一日4作品ほどを上映している。同劇場は16畳の和室に約20席を用意している。良質のスピーカー15台を配置し、音にもこだわったという。瀬戸さんは復活について「撮影に協力してもらった地元の方へのお礼」とする。伊豆半島では多くの町で映画館がなくなったといい、「映画文化に触れる契機になってほしい」と願う。
 鑑賞料金は1作品1500円、高校生以下1100円。問い合わせは同劇場〈電050(5309)2477〉へ。

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