「浜北」60年余の名称に別れ 区役所外壁表示「浜名」に 浜松市、1月1日行政区再編

 浜松市は29日、1月1日の行政区再編に伴って「浜名区役所」と改称する浜北区役所で、外壁サイン(表示)の交換工事を行った。職員と施工業者が高所作業車で庁舎3階部分のステンレス製サインを付け替え、16年余りにわたって親しまれた区名に別れを告げた。「浜北」の名称は浜北町、浜北市時代を経て半世紀以上続いただけに、区民からは名残を惜しむ声も聞かれた。外壁から取り外された「北」の字と新たに取り付ける「名」の字=29日午前、浜松市浜北区役所
 サインは縦横約70センチの立体文字を1字ずつ並べて取り付けている。経費節減のため、浜北区の「北」の部分だけを浜名区の「名」に交換するため、1文字だけを特注した。業者がボルトを緩めて北の字を取り外した後、表面タイルを補修して新しい下地を打ち付けながら名の字を固定した。
 浜北の地名は1956年に5町村の合併で浜北町が発足した際に誕生した。63年からは浜北市、合併した浜松市が政令市に移行した2007年からは浜北区として存続してきた。
 新しいサインを見上げた同区内野台のタクシー運転手の男性(44)は「生まれてからずっと住んでいて、楽しい思い出が詰まった地名。残してほしかった」と少し寂しげに語った。同区横須賀の無職男性(77)は「ずっと浜北だったから、今後も住所を呼び間違えてしまいそう」と愛着を語りながらも、「駅や施設に浜北の名は残るし、地域の魅力は変わらない。浜名もなじみがあって悪くない」と前を向いた。
 交換作業を担当した区振興課の平田浩二課長補佐は「ここは浜北の中心で皆さんの目につく場所。サインから区名の変更を実感してくれる人もいるのでは。気持ちを新たにサービス向上に努めたい」と話した。
 新設の浜名区は現在の浜北区と北区の大部分を統合し、1月1日に発足する。区役所の業務は4日から。庁舎内の看板表示類は年内に交換を終える。交換が終わり、新区名のサインが完成した=29日午前、浜松市浜北区役所外壁から取り外された「北」の文字=29日午前、浜松市浜北区役所
 (浜松総局・宮坂武司)

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