江戸時代の婚礼料理、お味は? 古文書基に再現 伊豆の国・江川邸

 地域資源を学術的に解析し、学問体系を確立して地方創生を図る「富士・箱根・伊豆国際学会」はこのほど、「江戸時代のガストロノミー(美食)再現・アレンジ試食会」を伊豆の国市の国指定重要文化財「江川邸」で開いた。五條堀孝会長ら有識者が、江川家に伝わる婚礼の献立を基にした料理を試食し、歴史的な食文化の魅力や活用の可能性を探った。

再現された江戸時代の婚礼料理=伊豆の国市の江川邸
再現された江戸時代の婚礼料理=伊豆の国市の江川邸


 約220年前の江戸時代後期、韮山代官・江川英龍の叔父・陽三郎が婿養子に入る際の婚礼献立と使用食材が書かれた古文書を基に、料理の再現を試みた。具体的な調理方法は記されていなかったため、再現作業は困難を極めた。
 市内で懐石料理の仕出しなどを手がける「耕心庵 次五ゑむ(じごえむ)」の柴山崇志主宰が調理を担当した。地場の魚や野菜を使った吸い物や焼き物、菓子など計15品を用意した。古文書には写真や絵もなく、「特に味付けや彩りが難しかった」と苦労を語った。
 柴山さんによると、アイナメやタケノコ、クワイが使われていて、春先の婚礼だったとみられる。汁物が3品も提供されていることから、「婚礼の時間が長かったのではないか」と推測。「色味より食材が持つ意味などで華やかさを表現していたと思う」と話す。
 江川邸を管理する江川文庫の橋本敬之学芸員は試食後、「この料理を観光に使い、江戸時代を身近に感じてもらえるような取り組みを考えてみたい」と期待を寄せた。五條堀会長は「歴史ある江川邸で江戸時代の献立を再現するのは画期的。想像以上に美しく豪華になった」と振り返った。
 (大仁支局・小西龍也)

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