浜松市 新行政区スタート 商機拡大/広い視野で/都市と交流 議論から融和へ一歩 3区 膨らむ期待

 浜松市の行政区再編が1日施行され、7区に分かれていた地域が3区に集約された。かつて新区の枠組みを議論する段階では、区役所の位置や区名を巡り地域の自治会からさまざまな主張が噴出したが、2年前に区域が確定し、融和の動きも進んできた。新たなスタートへ、各区の自治会連合会長も期待を膨らませた。

浜松市の新行政区
浜松市の新行政区

 浜名区はベッドタウンとして人口増加中の旧浜北区と、歴史的文化が色濃く残る旧北区の大部分で構成される。天竜浜名湖鉄道で結ばれた両区は、観光協会や商工会が商機拡大へ、いち早く交流を始めている。松下敏昭自治連会長(73)は「各地域に独特の伝統が根付き、副都心として都市機能や住環境もある。連携による成長の余地が大きく、県内で一番魅力ある地域になれる」と未来を描く。
 中央区はおおよそ合併前の浜松市に浜名湖畔の旧雄踏、舞阪両町域を加えた区域。広野篤男自治連会長(77)は「大所帯で、互いの良さを出すには少し時間が必要」と自治会間の調整に余念がない。元の浜松市から五つの区に分かれていた間、防災や福祉などの活動は地域ごとに進化を遂げた。「優れた事例を広げたい。他の2区も含めた市全体の発展へ、広い視野で未来を考えたい」と強調する。
 区域の変更がない天竜区は人口減少や治山など固有の課題が多く、自治会側が単独の存続を希望した。市は新たに副市長を置き、地元目線の施策を強化する。大見芳自治連会長(70)は「住民の強い絆が最大の特徴。天竜美林と呼ばれる山林は都市部の災害を抑え、カーボンニュートラルに貢献する。都市部と交流し、理解を深め合いながら人を呼び込みたい」と話した。
 (浜松総局・宮坂武司)

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