駒大主将の鈴木、首位守るも涙/ 創価大の吉田、意地の山上り 箱根駅伝・静岡県勢力走

 第100回東京箱根間往復大学駅伝第1日は2日、東京・大手町から神奈川県箱根町までの5区間で往路が行われた。史上初の2年連続大学駅伝3冠を狙う駒沢大は、1区の篠原倖太朗が区間賞で先行し、2区鈴木芽吹(熱海泉中出)も1時間6分20秒の区間2位と力走したが、3区で青学大に逆転され2分38秒差の2位で往路を終えた。

2区で区間2位と力走した駒大の鈴木芽吹(左)。3区佐藤圭汰にたすきを渡す=戸塚中継所
2区で区間2位と力走した駒大の鈴木芽吹(左)。3区佐藤圭汰にたすきを渡す=戸塚中継所
5区で区間9位に終わり、悔しさをにじませながら取材を受ける創価大そ吉田響=芦ノ湖
5区で区間9位に終わり、悔しさをにじませながら取材を受ける創価大そ吉田響=芦ノ湖
2区で区間2位と力走した駒大の鈴木芽吹(左)。3区佐藤圭汰にたすきを渡す=戸塚中継所
5区で区間9位に終わり、悔しさをにじませながら取材を受ける創価大そ吉田響=芦ノ湖

 鈴木以外の静岡県勢は、東海大の兵藤ジュダ(東海大翔洋高出)が1区5位と好走。創価大の5区吉田響(東海大翔洋高出)は区間9位ながら、順位を一つ上げて往路7位でフィニッシュした。日体大の漆畑徳輝(富士岳陽中)は当日変更で3区に投入され区間12位と粘った。

「花の2区」で悔しい区間2位 駒沢大の鈴木(熱海泉中出)
 「花の2区」で1時間6分20秒の区間2位―。他校のエースなら文句なしの快走だろう。だが、史上初の2年連続大学駅伝3冠を狙う駒沢大の主将鈴木(熱海泉中出)は涙が止まらない。首位は守ったが青学大に22秒差に詰められ「1区のいい走りをつなげられなかった」と悔やんだ。
 鶴見中継所で23秒だったリードを、15・2キロ地点の権太坂で42秒に拡大。快調にペースを刻んだが、「戸塚の壁」と称される残り3キロからの急坂で脚が止まった。日本人歴代5位の好記録にも「タイムは二の次。区間1位が1時間6分7秒ならそれを上回らなければならない」。主将の責任感をにじませた。
 それでも、今季は三大駅伝で全て区間3位以内。3年までは故障がちで、突出した潜在能力を十分に発揮できなかったが、主将として引っ張り続けた1年には「自分に自信を持てた。いいチームになってこの日を迎えられた」と充実感がある。
 1日夕に能登半島地震が発生。大会開催への不安も募る中でチームとして「走れることは当たり前ではない」と感謝の気持ちを再確認したという。往路で許したリードは2分38秒。他校なら白旗を揚げる大差だが、先頭に立って作り上げてきた史上最強軍団は逆転を諦めていない。

異例の編入、意地の山上り 創価大・吉田(東海大翔洋高出)
 ライバル校から覚悟の編入を経て立った箱根路で、創価大の5区吉田(東海大翔洋高出)が意地を見せた。区間9位と苦しみながらも8位から順位を一つ上げ、シード権確保への流れはつくった。
 東海大1年時に5区で7人抜きの区間2位。鮮烈デビューを飾ったが、2年時に「チームと自身で競技への考えが一致しない」状況に陥り、今春から創価大に編入した。
 2年ぶりの山上りは、走り出した直後に脇腹痛に見舞われる厳しい展開。それでも、1年間チームに溶け込ませてくれた仲間の支えに「陸上を辞めるかもしれない瀬戸際でチャンスをもらった。結果で恩返ししたい」との思いで走り切った。
 フィニッシュ後、悔しさに声を震わせる吉田にチームメートから「頑張れ」「大丈夫だよ」との声が飛んだ。すっかり創価大の一員になった3年生は決意する。「もう一度チャレンジしたい。1時間8分台を目指す」。来年こそ4代目「山の神」を襲名する。
(山本一真)

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