記者コラム「清流」 地元より詳しい

 着々と居住地域に詳しくなれるのは、この仕事の役得だろう。三が日は、森町一宮の小国神社で行われた恒例の神事「田遊び祭」を初めて取材した。
 田づくりから刈り入れまでを演じて、その年の米の豊作を祈願する。厳かに披露される演目を参拝客もじっと見守り、境内は独特の空気感に包まれていた。
 米の豊作を祈ることは地域の平穏を願うこと。その思いで、鎌倉時代中期から絶えず続けられてきた。改めて町の歴史の深さが身に染みたが、地元神奈川県の神社にも同じ趣旨の神事が鎌倉時代から伝承されていることを後で知った。
 おそらく、20年住んだ地元より、着任数カ月のこの地域の方がすでに詳しい。地元に無関心で生活していたことを今更反省しつつ、その分空いた脳の容量はこの仕事で生かしたい。
(袋井支局・北井寛人)

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