ふるさとの香り、癒やしに 静岡の元教員、杉浦さん 地元産かんきつで精油開発

 元小学校教諭で、退職後に調香師やアロマセラピストとして活動する静岡市清水区の杉浦元昭さん(61)が、地元特産のかんきつ類を原料にした精油とアロマスプレーを開発した。天候の影響などで出荷できない果実を生産者に提供してもらい、活用した。杉浦さんは「ふるさと静岡の良さや懐かしさを香りから感じてほしい」と強調する。

静岡市特産のかんきつ類を使った精油とアロマスプレーの魅力を語る杉浦さん=静岡市清水区
静岡市特産のかんきつ類を使った精油とアロマスプレーの魅力を語る杉浦さん=静岡市清水区

 開発したのは静岡市特産の太田ポンカン、はるみ、甘夏の3種の精油とアロマスプレー。3種を含め、河津町産のニューサマーオレンジなど計12種の精油をブレンドしたアロマスプレー「静岡の香り 駿河」も製造した。リラックス効果や安眠作用が期待できるという。精油の抽出は徳島県の企業が行い、ブレンドやスプレーにする作業は杉浦さんが手がけた。
 原料の静岡市産かんきつ類は、出荷ができない規格外の果実など。JAしみずを通じて生産者から提供を受けた。同JAの担当者は「通常は廃棄される果実の活用は、農園が野生鳥獣の餌場になったり腐敗臭を出したりすることの予防策の一つになり得る。SDGs(持続可能な開発目標)に向けた動きにも通じる」と歓迎する。
 杉浦さんは教員時代、地元の農業や環境を考える学習に力を入れた。「子どもたちは、知れば知るほど自分が住む場所を好きになっていった」と振り返る。退職後は「地元を誇りに思ってもらえる香りを、子どもたちを含め多くの人に届けたい」と考え、精油の開発に挑戦した。
 40代半ば、ストレスから数カ月間、休職した期間にアロマと出合って「心が癒やされた」経験から、関連資格などの勉強を始めた。復職後も学びを深め、退職した2022年に自宅にサロンを開設した。
 開発した精油について「アロマを楽しむ人は女性に多いイメージがあるが、男性にもさまざまな場面で味方になってくれる。性別に関係なく、多くの人に手に取ってほしい」と期待する。清水区のエスパルスドリームプラザで販売する。
 (生活報道部・大滝麻衣)

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