「苦しい決断」必要な現場 能登地震 消防援助隊が活動報告 静岡市駿河区

 能登半島地震の被災地に県緊急消防援助隊の第1陣として派遣された静岡市消防局駿河消防署特別高度救助隊長の稲生貴久消防司令(45)が10日、同市駿河区の同消防局庁舎で難波喬司市長に活動報告を行った。稲生さんは「1人でも多くの生存者を助けるために、苦しい決断が必要な現場だった」と振り返った。

被災地での救助活動の報告をする稲生さん=静岡市駿河区の市消防局庁舎
被災地での救助活動の報告をする稲生さん=静岡市駿河区の市消防局庁舎

 稲生さんら第1陣は移動日を含めて1~5日の5日間派遣された。当初は支援先の石川県珠洲市までの陸路が閉ざされていたため、同県内の進出拠点から東京消防庁のヘリで珠洲市内に入り、資機材が限られる中で倒壊家屋に取り残された人の捜索にあたった。
 稲生さんによると、1階が押しつぶされた家屋が多く、救助活動は困難を極めたという。捜索中も余震が頻発し、そのたびに退避した。倒壊の危険性などから救助できずに時間を区切って次の捜索に移るケースもあり「(下敷きになっている人の)家族が近くで見ていて、何とかしてあげたい気持ちがもちろんあったが、苦渋の判断をせざるを得なかった」と吐露した。
 難波市長は「過酷な中で頑張ってくれている。長期戦だと思うが、安全に気をつけてほしい」と述べた。
 (社会部・小沢佑太郎)

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