記者コラム「清流」 能登半島と伊豆半島

 「発災から少なくとも3日間は救助が来ないと覚悟してほしい」。かつて赴任した伊豆半島のある自治体の首長が、南海トラフ巨大地震を想定した訓練で参加者に呼びかけた。静岡県内外で甚大な被害が想定され、救助や支援が追いつかないだけでなく、道路の寸断によって孤立する可能性のある半島ならではの地理的特徴を踏まえた発言だった。
 晴れやかに新年を迎えていたであろう北陸地方の人々を襲った能登半島地震。道路の不通により、静岡県から向かった消防の救助隊も能登半島先端の石川県珠洲市に入るのが難航した。
 美しい海岸線や海の幸など半島ならではの恵みは数え切れない。通算6年間過ごした愛すべき伊豆半島。沿岸も、山あいも、今回の地震を受けて見直すべき防災対策は必ずある。決して人ごとにしてほしくない。
(社会部・小沢佑太郎)

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