子どものネット利用、年代上がるほど依存リスク増 静岡県教委、判定システム 暴力など深刻な影響も

 静岡県教委がまとめた児童生徒の2022年度インターネット依存度判定システムの結果によると、小学生、中学生、高校生と年代が上がるにつれてネットの依存リスクが高まる傾向が明らかになった。「朝起きることができない」「学校成績の低下」など影響が深刻なケースもあり、県教委は子どものネット利用に対する点検を各家庭に呼びかけている。
高リスクと判定された小中高生のインターネットを起因とする問題、小中高生の平日1日のインターネット利用時間
 同システムは、子どものネット依存に対する懸念の高まりを背景に、県教委が手軽に自身のネット利用状況をチェックできるようにと21年度に運用を始めた。県教委のウェブサイトから約50問の設問に答える形式。「リスクなし」、ネットの使い方の再考を必要とする「中リスク」、早急な改善を必要とする「高リスク」の3段階で判定する。高リスクは「ネットの利用を始めると自分ではやめることができないような状態」を指し示す。
 社会教育課によると、22年度のシステム利用者は希望した小中高で1万6155人。小学生(受検者6560人)は中リスクと判定された人の割合が26・3%、高リスクが4・2%、中学生(同7032人)は中リスク40・5%、高リスク5・3%、高校生(同2563人)は中リスク47・2%、高リスク2・9%だった。年代が上がるにつれて「リスクあり」の割合が高くなる結果を示した。
 ネット利用が起因する問題を聞く項目では、「朝起きることができない」と回答した児童生徒が目立った。中学生16・8%、高校生12・6%と、10人に1人以上を占め、小学生段階でもすでに9・4%に上った。
 また、「学校成績の低下」と答えた小学生は3・3%と低いが、中学生になると18・0%、高校生は21・8%と深刻さが増す結果に。高リスクと判定された児童生徒全体で見ると「昼夜逆転」は29・1%、「家で物に当たったり、壊したりした」は21・8%と高い割合となった。
 平日1日のネット利用時間を問う項目では、「1時間以上2時間未満」の割合が最も高く、27・0%だった。判定システムは県教委のウェブサイトから誰でも受検できるため、社会教育課の担当者は「気軽にセルフチェックを行い、家庭のネット利用のルール作りに生かしてほしい」と促している。
 (政治部・大沼雄大)

 目を休める時間を 寝る前は控えて 静岡大/鎌塚優子教授
 インターネット依存度が高リスクと判定された児童生徒の中で「家で物に当たったり、壊したりした」の項目は小学生23.4%で、中学生、高校生と比べ高かった。児童生徒の健康管理に詳しい静岡大教育学部の鎌塚優子教授は「小学生は感情のコントロールがうまくできず、行動に直結してしまう面がある」と指摘。一方で「中高生はインターネット上の誹謗[ひぼう]中傷やいじめなど、保護者の目の届かないところでネット依存による変化が表面化している可能性がある」と警鐘を鳴らす。
鎌塚優子教授
 鎌塚教授は、子どもの視力や体内時計に対するネット依存の影響にも懸念を示す。注意点としてネットの利用時間に加え①目を休める時間を挟むこと②就寝前の利用を控えること-を挙げる。「学校の授業でもタブレット端末を使うようになったが、ネットやスマートフォンとの付き合い方も含めて子どもに教えることが必要」と強調した。

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