浄化施設で脱炭素 富士市と神戸企業 実験

 下水道設備などを手がける神戸市の「神鋼環境ソリューション」が富士市などと連携し、下水汚泥処理に伴う二酸化炭素(CO2)排出量の実質ゼロを目指す実証実験を始めた。昨年12月から同市宮島の市西部浄化センター内に新設備を設置し、性能の検証を進めている。

新設備の設置を祝う関係者=富士市宮島の市西部浄化センター
新設備の設置を祝う関係者=富士市宮島の市西部浄化センター

 従来は汚泥を加熱して水分を除去していたが、実験では圧力を加えて水分を搾る「水熱炭化」と呼ばれる技術を採用した。より少ないエネルギーで汚泥から炭化物を生成し、固形燃料を製造できるという。熱源を汚泥から発生するメタンガスの発電による排熱でまかなうことや、固形燃料の石炭代替利用によってCO2排出量の実質ゼロを見込む。
 同社と同市、日本下水道事業団は2018年から、国の事業の一環で下水処理での汚泥活用技術を研究してきた。市の担当者は「市が掲げるゼロカーボンへの貢献に加え、廃棄される汚泥の処理費削減にもつながるはずだ」と期待する。同社は富士市をモデルケースとして、新設備を全国の下水処理場に導入したい考え。
 実験は9月末まで。終了後、設備は富士市に譲渡され、継続して使用される予定。
 (富士支局・沢口翔斗)

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