心臓 血液逆流に新手術 清水町の岡村記念病院 開胸せず負担軽く

 岡村記念病院(清水町)は18日までに、心臓内の弁「僧帽弁」が正しく閉じずに血液が逆流する僧帽弁閉鎖不全症の新しい手術を始めた。カテーテルとクリップを用いる方法で、一般的な開胸手術に比べて患者の負担が小さく、高齢や心機能低下などの理由で開胸手術が困難だった患者の有効な治療法になるという。
 新しい手術は昨年9月に始め、これまでに4件実施した。今月1日時点で、この手術ができると日本循環器学会に認められているのは県内で5施設。県東部では同病院のみ。
 僧帽弁は心臓の部屋の間にあり、開くと血液が流れる。僧帽弁がうまく閉じずに血液が逆流すると心不全を引き起こし、動悸(どうき)や息切れといった症状が現れる。新しい手術「経皮的僧帽弁接合不全修復術」は、太ももの付け根の静脈からカテーテルを入れ、先端のクリップで僧帽弁を挟んで隙間を小さくして逆流を減らす。同病院によると、手術のための入院期間は約1週間と、開胸手術の半分程度になるとされる。
 開胸手術ができず薬による治療を続ける患者は「少なくない」(同病院)。その中には年3~4回の入院を繰り返す患者もいるという。4件の手術を執刀した心臓血管外科の三和千里部長(60)は「開胸手術を諦めていた患者さんにも穏やかに過ごしていただけるようになる。高齢化が進む県東部で手術できるようになったのが大きい」と話す。
 (東部総局・矢嶋宏行)

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