AIで119番通報を文字化 全国初、高機能システム導入へ 中東遠消防指令センター

 磐田市など6市町を管轄する中東遠消防指令センター(同市福田)は人工知能(AI)を活用し、119番による通報者の声を自動で文字表示する全国初の機能などを備えた「高機能消防指令システム」を導入する。社会の高齢化が進み救急出動件数が過去最多を更新する中、発生場所の早期特定や出動につなげて救命率向上を図る。運用開始は2025年4月。

高機能消防指令システムを導入する中東遠消防指令センター=2023年12月下旬、磐田市福田
高機能消防指令システムを導入する中東遠消防指令センター=2023年12月下旬、磐田市福田

 新たに採用される「自動出動音声認識機能」は、119番で寄せられた通報内容を文字に自動変換する仕組み。磐田市消防本部によると、会話から文字への置き換え精度は約80%で、データが蓄積されるとAIの自動学習機能によって精度が向上するという。
 指令センターでは現在、中東遠の5消防本部の計24人が3交代制で業務に当たる。市消防本部によると、1日の平均受信件数は約60~70件。通報を受けた指令員が装置の画面上でメモを取り、災害場所を特定した後に管轄する消防本部に出動指令を発出する。新たな機能を導入することで、出動までの時間短縮が見込まれるという。
 市川龍也中東遠消防指令センター長は「遠州地域は独特な方言や地名も多い。通報内容が全て文字で出てくるので、指令員から出動隊に情報を送る作業が速くなる」と期待した。
 通報者が現場の様子をスマートフォンで撮影し、送信することができる「映像通報システム」も備える。心肺停止など緊急性の高い状況で、指令員が心肺蘇生法を説明する動画を送ることが可能となる。
 (磐田支局・崎山美穂)

 

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