政治資金裏金事件 自民に自浄作用働くか【とうきょうウオッチ 記者余論】

 通常国会開会を1週間後に控えた19日、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件が大きく動いた。東京地検特捜部が新たに安倍派の議員2人と、3派閥の会計責任者らを政治資金規正法違反の罪で立件した。安倍派の塩谷立座長(衆院比例東海)は記者会見で重い口を開き「国民の信頼を裏切った」と謝罪した。

記者会見で安倍派の解散を発表した塩谷立座長(左)=19日、自民党本部
記者会見で安倍派の解散を発表した塩谷立座長(左)=19日、自民党本部

 岸田文雄首相が出身派閥・岸田派の解散を表明し、同じく立件された安倍派、二階派も続いた。ただ、そもそも問題視されたのは、政治資金収支報告書への不記載という法令違反を犯した政治家の順法意識や、それを可能にした現行法の欠陥、不記載の金の使い道だったはずだ。
 塩谷氏は、不記載の金は「不正な使い方をされたわけではない。(裏金との指摘に)議員は心を痛めている」と強調したが、根拠を問われると「調査はできていない。議員から政治資金として使っていると聞いて判断した」と釈明した。派閥政治の是非ばかり取り沙汰され、本質の議論がなおざりになってはいけない。
 野党各党は政治資金規正法の改正へ準備を進めている。立憲民主党は18日に党内組織の初会合を開いた。県内議員の一人は「個人を含む政治資金パーティーの禁止や、法令違反を犯した政党の交付金カットなど厳しい意見が出ている」と明かし「物分かりのいい案を提示して、自民と同じ穴のむじなだと思われてはいけない」と対決姿勢を鮮明にする。
 自民党の政治刷新本部は月内にも改革案の中間取りまとめを行う。政治の世界に自浄作用は働くのか、国民から厳しい目が向けられている。
 (東京支社・山下奈津美)

いい茶0
あなたの静岡新聞 アプリ
地域再生大賞