マックスバリュ東海社長/作道政昭氏 生産性高め満足度向上【変革力 新年トップインタビュー⑩完】

 

作道政昭氏
作道政昭氏

 ―2024年の消費動向の見通しは。
 「23年はインフレが進み、消費者の節約志向が強まった。24年は商品の値上げ幅は抑制され、大きくは上がらないだろうとみている。(食品スーパーを中心とした小売りは)客数の増加や、商品の回転数を上げる施策に力を入れることになり、競争は激しくなる。イベントなどの手法を考えながら商品戦略を展開していく。物流や賃上げの課題もあるが、生産性を向上させる取り組みも重要なテーマになる」
 ―出店戦略は。
 「23年は移動スーパーや無人店舗、配達のウーバー、eコマースの強化を通じて、お客さまとの接点を増やした1年だった。実店舗は集中出店エリアを構築し、住宅街の間などに小型店を出す戦略をとっている。まだまだ出せるところに出店していく。スーパーマーケットは商品を販売するだけではなく、地域コミュニティーの場としての役割もある。23年は集中エリアから外れた天竜春野町店(浜松市天竜区)なども出店した。バランスを考えながら地域に貢献したい」
 ―商品の強化策は。
 「総菜と冷凍食品がトレンドになっている。共働きや1~2人世帯が増えた家族構成に対応する必要がある。簡単で便利、かつ健康的か、という視点が重視される。冷凍食品は技術が進化し、今後も市場が拡大するのは間違いなく、店舗で売り場を広げてきた効果も出ている。節約志向に対しては、プライベートブランドのトップバリュ商品の扱いを強化している。地域の食材を使った『じもの商品』の開発をしながら商品強化を図り、独自性を出していかなければ。総菜は例えば、おはぎや、夏場の天ぷらなど、家庭で作ることが減っている料理を地元食材を盛り込んで開発し、好調に推移している。地域の健康を考え、大学や高校と一緒に企画する取り組みで生まれた商品も非常に好調だ」
 ―小売業界の競争環境をどう見ているか。
 「店に特徴があり、地域と共同して必要とされる店にならなければ生き残っていけない。各店舗に導入した自動発注システムなど、人工知能(AI)や機械で置き換えられる作業は自動化を進めて生産性を高め、従業員は来店客との接点を増やし、お客さま満足度を向上させていく」
 (聞き手=浜松総局・白本俊樹)

 つくりみち・まさあき 1992年北陸ジャスコ(現イオン)入社。MV東海取締役執行役員商品本部長などを経て、2022年5月から現職。54歳。

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