構造的課題に挑戦を 21世紀倶楽部 浜松で例会 日銀支店長が講演

 静岡新聞社・静岡放送21世紀倶楽部の1月例会セミナーが23日、浜松市中央区のプレスタワーで開かれ、日銀静岡支店の水野裕央支店長(51)が人手不足や低賃金など県内経済を取り巻く課題を示し、「バブル崩壊後、日本が長く抱える構造的な課題解決への挑戦が重要になる」と述べた。

県内経済の課題について講演する日銀静岡支店の水野裕央支店長=23日午後、浜松市中央区のプレスタワー
県内経済の課題について講演する日銀静岡支店の水野裕央支店長=23日午後、浜松市中央区のプレスタワー

 持続的な賃金上昇や成長と分配の好循環を実現するには「企業の稼ぐ力の強化と、物価と賃金がともに上昇する構造への変革が必要だ」と指摘した。デジタル関連や脱炭素などの成長が期待できる事業分野の開拓による付加価値向上と、省力化などによる労働投入量の縮小を図り、労働生産性を高める必要性を説明。「特に人材育成が重要になる。産官学金が一体となって取り組まないといけない」と述べた。
 県内の景気動向について「緩やかに回復している」としつつも、「積極的な設備投資や賃上げを進める攻めの姿勢の企業と、やむを得ず減益になっている企業が混在していることに留意している」とした。仕入れ価格に対して販売価格が上昇していないことを示す県内の経済指標の推移を解説し、「まだ十分に価格転嫁できていない。今後に注目している」と語った。
 (浜松総局・白本俊樹)

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