プロが指南、モデル体験 子どもに人気じわり 静岡県西部の親子企画 “夢中”に出合う場に
静岡県西部を中心にスケートボードやダンスなどの若者文化を愛好する親子でつくるグループ「子供滑走団」が始めた「ファッションモデル体験」が、人気を集めている。未就学から小学生までの女児らがプロにメークを施してもらい、ランウエーでの歩き方指導を受け、自前の衣装を披露する。地域の大人たちが特技や人脈を生かして連携し、子どもの成長に一役買う。
昨年12月、浜松市内の商業施設サンストリート浜北のイベント用舞台には未就学児から小学生まで30人近くが立った。冬をテーマにした服装で、目の周りや唇を明るい色に染め、親や買い物客ら大勢の来場者の前でさっそうと歩き、手を振ってポーズを取った。
同市中央区の曳馬小5年滝本莉央さん(10)は「緊張したけど、みんなに見てもらえて楽しかった」と少し自信を深めた様子。母知子さん(44)は「娘が小学生になってから、コロナ禍で発表会など人前に立つ機会が減っていた。貴重な体験になった」と喜んだ。
浜松未来総合専門学校(同区)でヘアメークを指導する金田いずみさん(43)は学生に手伝ってもらいながら子どもたちに化粧を施した。「顔つきが変わりスイッチが入るのが分かる。新しいことに挑戦する子を手伝えるのが楽しい」と語る。ランウエーの歩き方を指導したのは愛知県でダンス教室を主宰し、プロのモデルも指導する吉田愛菜さん(39)。「変身してステージに立つ楽しさを知ってほしい」と協力した。
金田さんと吉田さんは子供滑走団の中心メンバー川上博也さん(46)=同市中央区=の仲間。スケボー体験会を手がけてきた川上さんは、幼稚園児の長女が化粧体験をした際に表情が見違えたことをヒントに、女児も参加しやすい地域イベントとしてファッションモデル体験の開催を試みた。
昨年春に開いた初回は定員を上回る応募があり、12月の2回目も想定以上が集まった。川上さんは「子どもが夢中になれる何かと出合うきっかけになれば」と話し、今後も年に複数回のモデル体験を計画する。
(浜松総局・松浦直希)