卓球五輪内定の平野、準々決勝敗退 高卒ルーキー赤江(デンソー)4強 全日本選手権

女子シングルス準々決勝 平野美宇(手前)を破った赤江夏星=東京体育館(写真部・二神亨)
 卓球の全日本選手権第6日は27日、東京体育館で行われ、静岡県勢は女子シングルス準々決勝で、パリ五輪代表に内定した平野美宇(木下グループ、沼津市出身)が3―4で赤江夏星(デンソー)に競り負けた。男子ダブルスは、Tリーグ静岡で監督を兼任する森薗政崇(BOBSON)が張本智和(智和企画)とのペアで連覇を狙ったが、決勝で敗れた。
 男子ダブルスは小林広夢、伊藤礼博組(日大)、女子ダブルスは木原美悠、長崎美柚組(木下グループ)、混合ダブルスは篠塚大登(愛知工大)木原組が、それぞれ初優勝した。

平野「負けどう生かすか」 パリへ切り替え
女子シングルス準々決勝 準々決勝で敗退した平野美宇=東京体育館(写真部・二神亨)
 長いパリ五輪レースを勝ち抜いた安堵(あんど)感があったか、平野は準々決勝で19歳の赤江に屈した。だが、「昨日は心臓が張り裂けそうだった。今日は試合を楽しめた」と悲壮感はない。半年後の本番を見据え「負けをどう生かすかが大事」と切り替えた。
 ゲームカウント1―2の第4ゲームは2―7から7連続得点し、最後はジュースの応酬を耐えて16―14。最終ゲームも最後まで競り合うなど内容は悪くない。ただ、かつて「ハリケーン」と称されたラリーで押し切れなかったのも事実だ。
 若手を中心に高速卓球が全盛になった今、求められるのは「スピードだけではない試合の組み立て方」。ここ1年は台上技術に磨きを掛け、準々決勝もラリー中に緩急を効かせたが「(伊藤と一騎打ちになった)ここ数カ月は勝利を優先してきた。今のままではメダルは取れない」と、さらなる成長を期す。
 大会前、夢には何度も伊藤が出てきたという。幼少期から高め合ったライバル。前日にシングルス代表を逃し、進退に言及した盟友への思いを問われ「難しい。でも、すごい選手とみんなが分かっている」と複雑な胸中を口にした。23歳は「卓球を辞めても忘れられない」という特別な全日本を終え、集大成のパリに向かう。

赤江「信じられない」 ノーシードで快進撃
女子シングルス準々決勝 準決勝進出を決めた赤江夏星=東京体育館(写真部・二神亨)
 ノーシードの19歳が驚異の快進撃を続けている。実業団の強豪デンソー(湖西市)の高卒ルーキー赤江が平野を破って4強入り。パリ五輪代表を決めたばかりの強敵をフルゲームで破り「信じられない」と目を丸くした。
 第1ゲームを3―11と圧倒されたが、「このまま負けたら悔いが残る。失うものはない」と吹っ切れた。捨て身の強打で流れをつかみ第5ゲームを終え3―2。最終第7ゲームも3―1から5連続失点した直後に5連続得点して押し切った。
 中学時代からTリーグ日本生命の下部組織で育ち、香ケ丘リベルテ高(大阪)で全国高校総体シングルスを制した有望株。デンソー入社後は課題のバックハンドを鍛え、高速ラリーで打ち勝つ場面を随所に見せた。準決勝の相手は連覇を狙う早田(日本生命)。「気持ちだけは負けない」と女王に挑む。
女子シングルス準々決勝 赤江夏星(手前)に敗れた平野美宇=東京体育館(写真部・二神亨)
女子シングルス準々決勝 赤江夏星(手前)に敗れた平野美宇=東京体育館(写真部・二神亨)
女子シングルス準々決勝 赤江夏星(奥)と対戦する平野美宇=東京体育館(写真部・二神亨)
女子シングルス準々決勝 ショットが決まらず頭をたたく平野美宇=東京体育館(写真部・二神亨)
女子シングルス準々決勝 ポイントを奪いガッツポーズの赤江夏星=東京体育館(写真部・二神亨)

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