災害時の外国人対応 能登教訓に検証 静岡市国際交流協など 人員手薄想定し訓練

 能登半島地震を踏まえ、静岡市国際交流協会と同市は27日、市災害多言語支援センターの設置・運営訓練を同市役所で行った。石川県国際交流協会の情報を基に、災害発生から72時間後を想定した訓練を進め、職員や外国人防災リーダーら約30人が初動対応を検証した。同防災リーダー研修の一環。

被災した外国人役の参加者から相談を受ける市国際交流協会職員ら=静岡市役所
被災した外国人役の参加者から相談を受ける市国際交流協会職員ら=静岡市役所

 石川県国際交流協会には安否確認や海外から同県への旅行が可能か確認する問い合わせなどが相次いだという。静岡市国際交流協会は避難所巡回や情報を多言語に翻訳して発信する訓練にこれまで取り組んできたが、能登半島地震で支援の受け入れ態勢が整わない状況が続いた教訓を踏まえて、今回は例年の訓練内容を変更した。運営側も被災して人員が手薄になると想定し、外国人役の参加者の相談を受けたり、電話やSNSで寄せられる問い合わせに応じたりする内容に絞って取り組んだ。
 対面窓口では、災害で仕事を失ってお金に困った技能実習生役の参加者などが次々と訪れ、「仕事を探す方法は」「いつになれば解決しますか」などの質問に対し、職員側が具体的な相談先や避難所を案内した。
 参加者同士の議論では、普段から地域の外国人コミュニティーとつながりを深める重要性を指摘する声が多くあった。同協会の中島一彦専務理事は「自分たちも被災した場合にはできる対応が限られる。日ごろの活動から防災を意識して備えを進めたい」と語った。
 (社会部・吉田史弥)

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